ノーマルベンド
ノーマルベンドの概要と用途
ノーマルベンド(Normal Bend)とは、電線管工事において管路を直角(90度)に曲げる際に使用される、あらかじめR状に加工された接続用部材のことである。現場では単に「ノーマル」と呼ばれることが多い。
電線管路を曲げる際、直角に鋭く曲げてしまうと、内部に通す電線やケーブルに掛かる張力が大きくなりすぎたり、被覆が損傷したりする原因となる。ノーマルベンドは、内線規程などで推奨される「管内径の6倍以上」といった緩やかな曲げ半径を確保した形状となっており、入線作業がスムーズに行えるよう設計されている。
「エルボ」との決定的な違い
ノーマルベンドとよく似た形状の部材に「エルボ(Elbow)」があるが、電気設備工事においては明確な使い分けが必要である。
- ノーマルベンド:曲率半径(R)が大きい。電線を引き入れる箇所で使用する標準的な部材。
- エルボ:曲率半径(R)が小さい。主に配管の端部で、それ以上先へ電線を通さない「端末処理」や、プルボックスへの接続直近など、通線抵抗が問題にならない限定的な箇所で使用される。ユニバーサルエルボなどは、蓋が開いて通線補助ができる構造になっている。
長い配管の途中で誤ってRの小さいエルボを使用してしまうと、呼び線が通らなかったり、呼び線を用いてケーブルを引き入れる際に、詰まって動かなくなったりする施工トラブルに直結するため注意が必要である。
手曲げによる現場加工との使い分け
金属管(E管・C管・G管)や合成樹脂管(VE管)は、専用の工具であるパイプベンダーやガストーチランプを用いた熱加工によって、現場で管自体を曲げることも可能である。しかし、以下の理由から既製品のノーマルベンドが多用される。
細い管(E19やVE16など)であれば現場加工も容易だが、太い管(G54やVE42など)をきれいに曲げるには熟練の技術と大きな力、あるいは油圧ベンダーなどの大型工具が必要となる。ノーマルベンドを使用すれば、切断して繋ぐだけで均一な品質の曲がりを確保できるため、太物配管では標準的に採用される。
硬質ビニル電線管(VE)をあぶって曲げると、経年変化や温度変化で曲げ戻りが発生したり、変色・焦げが発生したりする場合がある。品質の安定化や、火気使用不可の現場においては、接着剤で接続するだけのノーマルベンドが用いられる。
材質と接続方法のバリエーション
ノーマルベンドは、接続する電線管の種類に合わせて適切な製品を選定する必要がある。
- ねじなし電線管(E管)用:管の端部にカップリングを使用して接続するタイプ。
- 厚鋼電線管(G管)用:両端にネジが切られており、カップリングを介してねじ込み接続するタイプ。防水性が高いため屋外や防爆エリアで多用される。
- 硬質ビニル電線管(VE管)用:TSカップリングなどを用いて接着接続する。耐衝撃性能を高めた「HIノーマル」や、耐候性を考慮した「チョコレート色」「ミルキーホワイト色」などのカラーバリエーションが豊富である。












