電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 二重絶縁(強化絶縁)
感電に対して基本保護を行う「基礎絶縁」に対し、基礎絶縁が故障した場合の保護を行う「補助絶縁」を更に施したもの。
基礎絶縁が何らかの原因で故障しても、補助絶縁によって危険電圧が表面に現れない機構となっているため、高い安全性を保つことができる。二重絶縁構造の製品は「二重の四角形マーク」の記号表示によって確認できる。仮設照明、電動ドライバーやサンダーなど、工事現場で使用する電気機器に採用例が多い。
定格電圧150V以上の電気機器など「接地(アース)を施すことが可能な機構としなければならない」と定められた電気機器において、二重絶縁構造とした電気機器であれば、接地を施す必要がないと規定されている。
工事現場で使用する電動工具など、水、塵埃などで汚染されやすい環境で使用する電気機器は、二重絶縁構造とすることで安全性を高めている製品が多い。対して、二重絶縁構造ではない電気機器を使用する場合、接地線の接続が法的に必要となる。
絶縁構造の強化には、二重絶縁のほか「強化絶縁」という手法が存在する。二重絶縁は「基礎絶縁」と「補助絶縁」の二重構造となっているのに対し、強化絶縁は「単一の絶縁で二重絶縁と同等以上の感電保護が可能」とされている。
低圧電気設備-安全保護-感電保護(JIS C60364-4-41:2010)では、二重絶縁と強化絶縁はすべての状況で適用できるが、二重絶縁や強化絶縁を唯一の保護機能として電気機器を設計する場合「使用者が絶縁機能を損なうような変更を容易に行えないこと」を検証することが求められると規定されているため注意を要する。
機器の絶縁性能は、絶縁クラスと呼ばれる基準があり、二重絶縁または強化絶縁を採用する場合、絶縁クラスⅡがその電気機器の分類となる。これにはクラスⅡ機器としての基準を満足する場合、基礎絶縁だけで構成せず、二重絶縁または強化絶縁の安全措置を施すことが明記されている。
なお絶縁クラスⅡを採用する場合、接地機能(アース)を付加できない。接地を感電保護の機能として持たせる場合は絶縁クラスⅠとなる。
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