虫除けランプ

虫の走光性の原因となる500nm以下の波長の光を遮ったランプ。防虫性能が高く、夜間でも照明を点灯させなければならない「自動販売機」「商業施設等の荷捌き場」といった場所のほか、果樹園など害虫を寄せ付けたくない場所で使用される事例が多い。

虫除けランプには、虫を「寄せ付けない」タイプと、光で「誘い込んで捕獲・駆除する」タイプの2種類が存在する。使用する場所や目的に応じて、最適な製品を選ぶことが重要である。より効果的な防虫照明を計画する場合、水銀灯など虫を多く寄せる照明器具を実害のない範囲で近くに設置し、虫を引き寄せるという手法も考えられる。

虫を寄せ付けない照明

虫が特に敏感に反応する紫外線や短波長の青色光を極力カットしたランプである。虫の視覚特性を利用し、虫にとって「見えにくい光」を発することで、物理的に寄せ付けにくくしている。従来の蛍光灯などに比べて虫が集まりにくく、特に暖色系の光（電球色）は、より虫を寄せ付けにくい傾向にある。薬剤を使用しないため、屋内や食品を扱う場所でも安心して使用できるため、家庭の屋内、玄関、ベランダ、飲食店やコンビニエンスストアの店内・外に設置するとよい。

500nm以下の波長をカットした照明は、特徴的な黄色に発光するため、意匠性を求める場所での使用には適していない。照射対象物本来の色を表現することはできず、全て黄色で表現されるため検品を行う場所での採用は避けるべきである。

紫外線吸収膜で表面を覆った蛍光灯は、一般の蛍光灯よりも高い虫除け効果があり、一般の蛍光灯同様に白色や昼白色の光を放つが、防虫性能はイエローランプに及ばないため注意を要する。

近年広く普及が進んでいるLED照明は、蛍光灯よりも虫除け効果があるとされているが、紫外線吸収膜付き蛍光灯同様に、イエローランプほどの効果は望めない。

虫を誘い込んで駆除する照明

高電圧の格子に触れさせて感電死させる仕組みを持つ。「バチッ」という音とともに瞬時に駆除できるため、効果を実感しやすく、薬剤不要で経済的であるが、虫除けランプというカテゴリーではなく、殺虫ランプとして区分されているものである。これには高電圧で駆除するものと、粘着シートで捕獲する仕組みがあるが、いずれも虫を強く寄せ付ける周波の光を放つランプが搭載されている。

電撃殺虫器や捕虫器の詳細については電撃殺虫器・捕虫器の仕組みを参照。