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モーターコントリビューション

電動機からの短絡電流供給現象

モーターコントリビューション(Motor Contribution)とは、電力系統において短絡事故が発生した際、稼働中の誘導電動機(インバータ制御を除く直入れ始動等のもの)が一時的に発電機として作用し、事故点に向けて電流を供給してしまう現象である。

通常運転時、電動機は電源から電力の供給を受けて回転している。しかし、電源側で短絡事故が起こり電圧が急激に低下すると、電動機は慣性エネルギーによって回転を続けるため、残留磁束により誘導起電力を発生させる。これにより、電動機から電源側(事故点)へ向かって逆流電流が流出する。この電流が、電源系統からの短絡電流に加算されるため、遮断器が遮断すべき電流値は増大することになる。

概算計算における実務的アプローチ

本来、モーターコントリビューションの計算は、接続されている全電動機の定格電流とリアクタンスを積算して算出する。しかし、基本設計段階など詳細な機器仕様が未定の場合においては、動力用変圧器の容量をベースとした概算を行うことが一般的である。

電気設備設計の実務指針等では、変圧器の定格容量(kVA)のすべてが電動機負荷であると仮定して計算すると過大設計となるおそれがあるため、変圧器容量の50%~80%程度を電動機負荷とみなして計算する手法が採られることが多い。JEAC(電気技術規程)等のガイドラインでは、特に詳細が不明な場合、電動機総容量を変圧器容量同等、あるいは係数を乗じて算出することが許容されている。

インピーダンス設定と電流の大きさ

低圧の配線用遮断器の選定において、モーターコントリビューションの影響は無視できない。一般に、かご形誘導電動機の初期過渡リアクタンスは、自己容量ベースで20%~25%程度とみなされる。

これを短絡電流に換算すると、電動機定格電流の約4倍~5倍の電流が事故点に流入することになる。例えば、変圧器容量の全てが電動機負荷であった場合、変圧器からの短絡電流に加え、その約4倍の電流が加算される計算となるため、遮断器の定格遮断容量(kA)を選定する際には、この増分を見込んだスペックを選定しなければならない。

インバータ回路と遮断器選定への影響

なお、インバータ(VFD)を介して接続される電動機については、短絡事故発生時にインバータの保護機能が即座に動作し出力を停止するため、あるいは回生コンバータを持たない回路構成では逆流しないため、原則としてモーターコントリビューションの対象外として扱うことができる。

設計者は、直入れ始動の大型ファンやポンプなど、慣性モーメントの大きな負荷が存在する系統では、必ずこの現象を考慮し、保護協調および遮断器の容量選定を行うことが望ましい。計算を省略して遮断容量不足となった場合、事故時に遮断器が破損し、波及事故につながるリスクがある。

電動機の特徴や、電源供給・保護方式の設計については電動機の種類と保護方法を参照。

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