水切り端子
水切り端子(止水端子)の概要と役割
水切り端子とは、地中や地下ピットなどの湿潤環境から、接地線(アース線)を伝わって建物内部や盤内に水分が侵入するのを防止するために設けられる、つば(鍔)付きの接続端子である。
端子本体は銅製のスリーブ形状をしており、中央部に円盤状のつばが溶接または一体成型されている。この円盤部分がコンクリート躯体の中に埋設されることで、水の移動経路を物理的に遮断する構造となっている。
浸水を防ぐ毛細管現象の遮断
接地線に使用されるIV線などは、多数の細い銅線(素線)を撚り合わせた「撚り線」構造となっている。地中の水分圧が高い場合、水は電線の絶縁被覆と導体の隙間だけでなく、導体の素線同士の微細な隙間を通って吸い上げられる現象が発生する。これを毛細管現象と呼ぶ。
通常の防水処理(コーキングやテープ巻き)だけでは、被覆の外側を止水できても、導体の内部を通ってくる水までは防ぐことができない。水切り端子は、スリーブ内部で導体を高圧力で圧縮し一体化させることで、この導体内部の隙間を完全に潰し、毛細管現象による水の吸い上げを根本から遮断する役割を果たしている。
施工上の重要ポイントと鉄筋との絶縁
水切り端子の施工品質は、建物の防水性能に直結するため、以下の点に厳重な管理が求められる。
水切り端子の「つば」の外側を水が回り込んで侵入することを防ぐため、端子周辺にはコンクリートが密実に充填されなければならない。打設時にジャンカ(空隙)が生じないよう、バイブレーター等による適切な締め固めが必要である。より信頼性を高めるため、水切り端子を直列に2個以上配置する「ダブル設置」が行われることも多い。
水切り端子は、地中梁や耐圧盤といった建物の基礎部分に埋め込まれるが、周囲の鉄筋や鉄骨と接触してはならない。接触すると、以下の弊害が生じる。
- 異種金属接触腐食(電食):銅(端子)と鉄(鉄筋)が接触した状態で水分が存在すると、電位差により鉄側が腐食を早める原因となる。
- 迷走電流の流入:本来大地に流れるべき事故電流などが鉄筋を介して建物全体に流れたり、逆に迷走電流を拾ってノイズの原因となったりする。
このため、水切り端子は鉄筋の配筋スペースの中央に浮かせた状態で固定する必要があり、施工性が悪い。近年では、予め端子全体を樹脂ケースで覆った「絶縁ケージ付き水切り端子」や、絶縁テープ巻き仕様の製品を使用することで、鉄筋接触のリスクを回避するのが一般的である。
製品ラインナップとプレハブ品の活用
端子のサイズは、接続するIV線やKIV線のサイズに合わせて、8sq、14sq、22sq、38sq、60sq、100sq、150sqなどが標準ラインナップされている。接続には専用の圧縮工具とダイスが必要となる。
現場での圧縮接続作業は、狭い配筋内で行う必要があり手間がかかるため、近年では工場であらかじめ所定の長さのケーブルに水切り端子を圧縮接続し、絶縁処理まで施した「水切り端子付きリード線(プレハブ加工品)」が広く普及している。これにより、現場ではケーブルを敷設するだけで済み、施工品質の均一化と工期短縮が図られている。












