電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 増し締め
2024.2.17
電線を端子台やブレーカーに接続した部分の、ねじを締め直すこと。締め付けが弱い状態では、接触面積が少なくなり、電気抵抗が増大して発熱の原因となる。
端子に接続された電線は、発熱によって伸縮を繰り返し、ねじのゆるみが発生しやすい。振動が発生する電気機器では特に重要であり、緩んだねじ部が異常発熱し、接続部周辺の電線被覆や端子台部分が融解し、火災に進行する事例が多い。
分電盤内部など、非常に多くのブレーカーや端子台が存在する場合、ひとりの作業者で増し締めを行うと、ヒューマンエラーによる増し締め忘れやトルク不足のおそれがある。複数の作業者によって実施し、違う種類のペンでマーキングを行うことで、増し締め不良を防止している。
増し締め不良による異常発熱は、機器稼働時など限られた時間にのみ発生することも考えられ、発見が遅くなるおそれがある。異常発熱の発生を早期確認するために、マーキングペンを「サーモマーカー」とすることで、異常発熱した端子の存在の発見が容易となる。
増し締めを実施する場合、増し締め管理表を盤の内面に貼付しておき、誰がいつ実施したかを表示すると良い。
増し締めによるエラー防止を回避する方法として、差し込み式の端子台を用いる事例もあるが、差し込み式の場合は差し込み不良が発生しないように、どの位置まで差し込まれているかを確認できる製品を使用するのが望ましい。適正に差し込まれていれば確認窓が変色するといった機器が、多くのメーカーから発売されている。
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