マルチメーター
盤面の省スペース化と多機能計測の集約
マルチメーターは、受変電設備のキュービクルや配電盤、動力制御盤の扉面に設置され、電圧(V)・電流(A)・電力(W)・力率(PF)・周波数(Hz)といった多岐にわたる電気的要素を、一台で計測・表示する電子式指示計器である。「電子式マルチ指示計器」とも呼ばれる。
従来のアナログ計器方式では、計測項目ごとに個別のメーター(電圧計、電流計、電力計など)を配置する必要があり、盤面のスペースを大きく占有する上に、それぞれの計器に対して配線工事を行う手間が発生していた。マルチメーターを採用することで、これらを一台に集約できるため、盤面の省スペース化、配線工数の削減、および盤設計の簡素化が可能となる。また、VT(計器用変圧器)やCT(変流器)の変成比設定をデジタルで任意に変更できるため、汎用性が高いのも大きな特長である。
デジタル表示とバーグラフによる視認性
計測値の表示は、7セグメントLEDやLCDによる数値表示が基本である。相の切り替え(R相、S相、T相など)は、本体表面のボタン操作によって画面を遷移させる方式が一般的だが、常時監視したい項目(例えば電流と電圧)を同時表示できる多段表示タイプも普及している。
デジタル表示は数値を正確に読み取れる反面、数値がパラパラと変動すると「値の増減傾向」や「定格に対する割合」を直感的に把握しにくいという欠点がある。これを補うため、アナログメーターの針の動きを模した「バーグラフ表示」機能を備えた機種が主流となっている。これにより、負荷率がどの程度か、変動が激しいかといったアナログ的な情報を、デジタル数値と同時に視認することが可能となっている。
通信機能とエネルギー管理システム(EMS)
マルチメーターの最大のアドバンテージは、計測データをデジタル信号として外部へ出力できる点にある。Modbus RTU(RS-485)などのシリアル通信や、CC-Link、LONWORKSといったオープンネットワークに対応したオプションユニットを装着することで、中央監視装置やBEMS(ビルエネルギー管理システム)と容易に連携できる。
また、従来のアナログ出力(DC4-20mA)や、電力量(kWh)の積算パルス出力機能も備えており、既存のシステム構成に合わせた柔軟な設計が可能である。これにより、単なる「現場での確認用」にとどまらず、ビル全体のエネルギー消費傾向の分析や、省エネ制御のためのセンサーとしての役割も担っている。
高機能計測と予防保全への活用
近年では、基本計測機能に加えて、電力品質の管理に不可欠な「高調波電流(第3次~第31次程度)」の計測や、不平衡率の監視、さらには漏洩電流(Io/Ior)の常時監視機能を搭載した高機能モデルが登場している。
特にインバーター機器やLED照明の増加に伴い、高調波による設備トラブル(コンデンサの焼損やブレーカーの誤動作)のリスクが高まっているため、マルチメーターで高調波含有率を可視化することは予防保全上、極めて有効である。また、デマンド警報機能を持たせることで、簡易的なデマンド監視装置として運用することも可能となっている。












