黒化現象
黒化現象のメカニズムと概要
黒化現象とは、蛍光ランプの点灯時間が経過するにつれて、ガラス管の端部(口金付近)が黒く変色する現象のことである。
蛍光ランプの電極には、電子を放出しやすくするために酸化バリウムなどを主成分とするエミッタと呼ばれる電子放射物質が塗布されている。ランプの点灯中や始動時、このエミッタが加熱されて蒸発・飛散し、ガラス管の内壁に付着したり、管内の水銀と化学反応を起こして沈着したりすることで、ガラス面が黒く変色して見える。これは放電管という構造上、物理的に避けられない現象でもある。
黒化の分類と特徴
黒化現象はその発生場所や形状によって主に3種類に分類され、それぞれ発生原因や寿命との関連性が異なる。
アノードスポットは、電極の極めて近い場所に発生する境界がはっきりとした黒ずみであり、エミッタが消耗しきった寿命末期に発生しやすい特徴がある。これが現れると、不点灯や点滅を繰り返すなどの寿命症状が間もなく発生する目安となる。
エンドバンドは、電極から数センチメートルほど離れた場所に、リング状(帯状)に発生する黒ずみである。比較的使用初期から発生することがあるが、ある程度進行するとそれ以上広がらなくなる傾向がある。外観は見劣りするものの、ランプの寿命や機能そのものへの影響は少ない。
EC黒化は、空調の吹き出し口からの冷風が直接当たるなどしてランプの一部が過冷却された場合に、不規則な雲状の黒ずみとして現れる。これは水銀蒸気が冷却されて凝結したものであり、風向きを変えるなどして温度条件が改善されれば消失することがある。
点滅頻度と寿命への影響
黒化の進行速度は、点灯時間の長さだけでなく、スイッチのオン・オフの回数に大きく依存する。
蛍光ランプは始動時に高電圧を印加して放電を開始させるが、この瞬間に最も多くのエミッタが飛散する。一般的に、1回の点滅操作で約1時間分の点灯寿命が短くなるとされており、頻繁な点滅を繰り返すトイレやセンサー照明などでは、定格寿命よりも早い段階で顕著な黒化が発生する場合がある。
水銀粒(水銀ペレット)の付着
黒化現象と混同されやすいものとして、水銀粒の付着がある。蛍光ランプ内には放電のために微量の水銀が封入されているが、これが蒸発しきれずに銀色の粒子としてガラス管内壁に付着することがある。
新品のランプや、寒冷地で長時間点灯していなかったランプに見られることがあるが、点灯して管内温度が上昇すれば蒸発して消えるため、不良や劣化ではない。黒化現象とは異なり、金属光沢を帯びているのが特徴である。
蛍光灯についての詳細技術情報については蛍光灯の種類と点灯の仕組みを参照。












