高圧受電

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高圧受電

大容量の電力需要が見込まれる需要家に対して、3,300Vまたは6,600Vにて需要家内に受電する方式。電力会社との受電協議に際して、通常、50kW以上の需要が見込まれる場合には低圧受電での供給ではなく、高圧受電が求められるため、需要家自ら設計し、設置しなければならない。

電力需要の少ない戸建住宅などといった小規模な建物の場合、電力会社との電気契約は6kVAや8kVAといった小さな値であり、流れる電流は30~40Aである。この程度の電流であれば、8sqや14sqといった細い引込線での供給が可能であり、施工的な不都合は発生しにくい。しかし、50kWに近い電力需要が見込まれる場合、低圧受電では200Aを超える大電流となり、引込線が太くなりすぎてしまう。

同一の電力を供給することを前提に、電流は電圧を高めることで小さくなるため、細い電線の状態で敷地内に引込み、建物内で低圧に変換することで、太すぎる電線が発生しないようにすることが高圧受電の考え方である。よって、高圧から低圧に電圧変換する受変電設備は、最も電力需要が大きな場所に設けるのが合理的である。

戸建住宅や小規模な事業所では低圧受電が可能だが、ビルや工場といった業務用施設では給水ポンプ、業務用エアコン、消火栓ポンプなど比較的大型の動力機器が配備されるため、50kW以上の需要となることが多い。

高圧受電が必要となった場合、需要家敷地内に区分開閉器としてPASやUGSを設け、かつ敷地内に受変電設備を設けて6,600Vを必要な低圧範囲の電圧まで降圧しなければならない。これら降圧に関する設備は需要家が自ら用意しなければならないため、設備設置コストは大きくなる。

また、これら高圧受変電設備は自家用電気工作物として管理しなければならないため、電気主任技術者を選任し、定期点検を行う必要がある。電気保安協会などに依頼し転記点検や定期報告を実施しなければならず、これをランニングコストとして見込まなければならない。

電柱上に取り付けられた高圧気中負荷開閉器(PAS)の写真

高圧受電の場合、従量制の低圧受電よりも従量料金設定を低くしているが、最も大きく発生する瞬間的な負荷容量に対して、基本料金を支払わなければならない。これを「デマンド」と呼び、電力会社は「30分間単位に計測した値の平均電力」を契約電力として、基本料金の決定が行われる。基本料金としては、1kWあたり1,600円前後の固定費が発生するため、工場など大型モーターを設置している需要家では、契約電力が大きいのに消費電力量は少ないということも有り得る。

高圧受変電設備は「キュービクル式」と呼ばれる、保護装置や変圧器、ブレーカーがひとつのパッケージとして鉄箱に収容された製品を設けるのが一般的である。キュービクルは工場で組み立てて搬入し、クレーンで据え付けるといった施工方法が可能なので、設置現場では据え付けたキュービクル内部配線の接続が工事の主体となる。現場組立作業量が低減されており、安全かつ短工期ということもあって、高圧受変電設備のほぼすべてがキュービクル式を採用している。

 
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