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こう長

電気設備分野におけるこう長とは、電線を敷設する際の起点から終点までの2点間の距離を示す指標であり、一般的に亘長と表記する。受変電設備のキュービクルから各階の分電盤までの距離など、ケーブルが実際に敷設される配線ルートの実長を表す数値として用いられる。

亘長は、対象となるケーブルが単心であっても、複数対が撚り合わされた多心ケーブルであっても同一の数値として扱う。敷設されるルートそのものの長さを示すため、ケーブルを構成する電線の総延長を示すものではない点に留意する。

屋内配線における水平投影と立体配線

建築物内の配線ルートを設計図面から読み取る際、平面図上の水平投影された長さをそのまま亘長として算出すると、実際の施工時にケーブルが不足する事態を招く。現実の配線ルートは平面ではなく、立体的な空間を通過するためである。

電線を敷設する場合、電気配線用シャフトを経由した階層間の立ち上げや立ち下げ、天井裏の配線ラックから壁面の分電盤までの配管の立ち下げなど、高さ方向の距離を正確に加算しなければならない。高さ情報の反映を忘れると、購入するケーブルの長さが不足するだけでなく、設計時に行った電圧降下の計算値にも大きな誤差が生じる原因となる。

ケーブルが巻かれたドラムリール

幹線計算と電圧降下への影響

亘長は、幹線設計における電圧降下を算出するための重要なパラメータとなる。ケーブルには固有の電気抵抗が存在し、敷設距離が長くなるほど抵抗値が大きくなり、結果として負荷端での電圧降下が増大する。

幹線に大電流を流す場合や、亘長が数十メートルから数百メートルに及ぶ長距離配線となる場合は、基準となる電圧降下率に収まるようケーブルの断面積を太くするサイズアップの検討が必要となる。正確な亘長を算出することは、機器の正常な動作を担保し、発熱や電力損失を防ぐための安定した設備設計に直結する。

架空電線路における亘長の扱い

屋内の配線とは異なり、屋外の架空電線路においては亘長の意味合いが少し変化する。架空電線路における亘長は、電柱などの支持物間の水平距離である径間を示す指標として用いられる。

実際の架空配線では、自重によるたるみである弛度が発生するため、電線そのものの実長は支持物間の水平距離よりもわずかに長くなる。架空線路の張力計算やたるみの算定を行う際は、この水平距離としての亘長を基準として、風圧荷重や氷雪荷重などの環境条件を加味して設計を進める。

施工を見据えた余長の確保と処理

算出した亘長に合わせてケーブルを手配する際、計算値ちょうどの長さを準備するのは危険である。現場の施工においては、以下のような要因によってケーブルが追加で必要となる事態が想定されるため、適宜余長を見込むことが求められる。

  • 建築構造の回避:梁や空調ダクトなどの障害物を避けるため、事前の配線ルートから上下左右への迂回が生じる場合。
  • 構造スリットの通過:地震時の建物の揺れを吸収するエキスパンションジョイント部を通過する際、断線を防ぐためのゆとりを持たせてケーブルを湾曲させて敷設する場合。
  • 端末処理のゆとり:盤の内部にケーブルを引き込み、端子台へ接続するための被覆の剥ぎ取りや、芯線の切り揃え作業を行う場合。
  • 地中埋設時の沈下対策:屋外のハンドホールや配線ピット内において、将来的な地盤沈下や機器の改修作業に備えて、ケーブルを1周から2周程度巻いて収納する場合。

これらの施工上の都合や予期せぬルート変更に対応するための余裕率を亘長に加算して、最終的な手配長さを決定する。これにより、施工中のケーブル不足という致命的なトラブルを防ぎ、手戻りのないスムーズな電気設備工事を実現できる。

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