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高圧キャビネット

高圧受電を行う需要家の受電点に設ける、自立した断路器収容箱。電柱による架空配電地域であれば、電力供給を受ける需要家は1号柱と呼ばれる電柱を建て、上部に高圧気中断路器(PAS)を設けて受電するが、地中配電エリアでは高圧キャビネットにより地中からの電力供給を受ける。高圧キャビネットは「ピラーボックス」とも呼ばれる。

架空配電の地域であっても、景観上または施工上電柱を建てられない場合は、地中からの受電を受けられる可能性がある。場合も高圧キャビネットを設置して受電する。

高圧キャビネット内部に責任分界点となる断路器を設ける。断路器には「ジスコン」「モールドジスコン」「UGS」など需要家が必要とする性能の断路器を選定しキャビネット内に収容する。受電した高圧系統をそのまま送電するスイッチ機能のみを持つ「二回路形(A1形)」と、隣接需要家に高圧電路を渡ることが可能な「三回路形」があるが、高圧受電では隣接需要家への渡りが原則であり、通常は三回路形が選定される。

高圧キャビネット(供給用配電箱)本体は電力会社手配の設備となり、隣接需要家への渡り配線を電力会社が施工し、需要家側は用途や品質グレードに応じて選定した断路器本体及び二次側を施工する。電力会社との責任分界点は断路器一次側となる。

高圧電路の途中に断路器を設けたい場合には、A1キャビネットに断路器を収容することがあるが、通常の設計において高圧電路の途中にスイッチを設ける必要性はないため、採用事例は少ない。A1キャビネット本体は電力会社ではなく需要家が手配し設置する。

断路器の選定においては、高圧ケーブルの波及事故を防止するため、断路器は方向性地絡保護機能を付与したUGSを採用するのが最も信頼性が高い。SOG制御装置を内蔵すれば、他需要家など電源側地絡事故による誤動作を防止できるため、もらい事故の可能性が少ない。

高圧キャビネットの設置位置は電力会社の配電線路に近いことはもちろん、日常的にメンテナンスが可能で、設置工事や保守に支障がないようキャビネット前面に1.5mの保守スペースが確保できるよう計画する。キャビネット下部からの高圧ケーブル入線となるため、W1,000×D1,000×H1,000の大きさを確保したハンドホールを下部に設ける。

電力会社から、敷地外突出し配管の種類、本数、埋設深さ、ハンドホールの寸法など、所定の施工要領に基づいた管路設計を求められるため、電気設計者による事前協議の実施が重要となる。

なお、東京電力の管轄エリアではキャビネットを支給品として提供が受けられるが、関西電力の管轄エリアでは、需要家側がキャビネットを用意するというように、電力会社によってキャビネットの資産区分が違っているため注意を要する。東京エリアでの設計が多い場合、地方物件で工事区分の記載ミスをしやすいため、電力会社による資産区分の違いを覚えておくと良い。

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