キャットウォーク
高所作業・メンテナンス用歩廊
キャットウォーク(Catwalk)は、人が通常立ち入ることが困難な高所や狭隘な場所に設けられた、点検・作業用の狭い通路・歩廊のことである。その名称は「猫が通るような細い道」に由来する。
建築設備の分野では、体育館、劇場、ホールなどの大空間において、高天井に設置された照明器具のランプ交換、舞台装置の操作、空調ダクトの点検などを行うために空中に架け渡された通路を指すことが多い。これらは一般利用者が立ち入る場所ではないため、手摺や床材は機能性を重視し、グレーチングや縞鋼板など質素な作りとなっているのが通常である。
昇降装置との比較とLED化の影響
体育館や展示場など、高天井部分に照明器具が設置される場合、かつては電動の「オートリフター(昇降装置)」を設けて床面でメンテナンスを行う計画も一般的であった。しかし、LED照明が普及した昨今では、光源寿命が長く約10年間はランプ交換が不要となるため、昇降装置の利用頻度は激減している。
滅多に使用しない装置に多額のイニシャルコストを投じることは、費用対効果(コストパフォーマンス)の面で合理性を欠くおそれがある。そのため、故障のリスクがなく、いつでも器具へのアクセスを容易にするキャットウォークを設ける設計が、経済的かつ実用的な選択肢として広く用いられている。
天井裏機器へのアクセスと踏み抜き防止
天井裏(天井隠蔽部)に設置された換気ファン、空調機、電気配線などのメンテナンスルートとしても重要である。点検口から手が届く範囲に機器があれば問題ないが、ダクトの経路上や梁の奥など、点検口から離れた位置に機器を設置せざるを得ない場合がある。
この際、天井下地は人の体重を支えるようには設計されていないため、作業者が誤って踏み抜いて転落する事故が発生するリスクが高い。そのため、点検口から対象機器までの動線には、アングルやチェッカープレートを用いた堅牢なキャットウォークを設置し、作業者の安全を確保する設計が求められる。
安全対策と設置基準
キャットウォークは高所作業の足場となるため、労働安全衛生規則に準じた転落防止措置が必要である。手摺の高さ(通常85cm以上)や中桟の設置はもちろん、工具やボルトなどが隙間から落下して下の人間に危害を加えないよう、床材の隙間を小さくしたり、幅木(つま先板)を設けるなどの配慮が不可欠である。
また、照明器具の配置に合わせてキャットウォークを計画することで、脚立や高所作業車を使用せずにランプ交換が可能となり、ランニングコストの削減とメンテナンス性の向上に寄与する。












