規約電流
汎用電動機の設計基準値
規約電流は、三相誘導電動機の配線設計を行う際、電動機メーカーが未定であっても幹線ケーブルや過電流遮断器の選定ができるように定められた、標準的な全負荷電流値である。
通常、電動機の全負荷電流はメーカーや機種(標準効率、高効率など)によって微妙に異なる。しかし、建築設備の設計段階では具体的なメーカーが決定していないことが多いため、個別の値を待っていては設計が進まない。
そこで、内線規程(JEAC 8001)やJIS規格に基づき、電動機の定格出力(kW)と電圧(200V/400V)に対応した「規約電流値」を用いることで、安全側の設計を行うことが認められている。
配線用遮断器とケーブルサイズの選定
規約電流の数値は、一般的な汎用かご形誘導電動機の全負荷電流を示しており、この値を基準として分岐回路の配線用遮断器(MCCB)の定格電流や、ケーブルの許容電流を決定する。
例えば、内線規程における200V級・3.7kWの電動機の規約電流は「16A」と定められており、資料により多少の差異はあるが標準値として扱われている。設計者はこの16Aを基に、始動電流を考慮したブレーカー容量や、電圧降下を加味した電線サイズを選定する。メーカーの実測値が入手できる場合はそちらを優先すると良いが、規約電流を用いておけば、後からどのメーカーの汎用モーターが採用されても、概ね問題なく適合するように余裕を持った値となっている。
適用除外とインバータ制御機器
規約電流はあくまで「商用電源で直入れ始動またはスターデルタ始動する汎用電動機」を想定した値であるため、適用には注意が必要である。
パッケージエアコンやファンなど、インバータ装置が組み込まれた機器については、高調波の影響や力率の違いがあるため、規約電流をそのまま適用することはできない。また、水中ポンプや特殊な用途の電動機も標準値とは大きく異なる場合がある。これらの機器を設計対象とする場合は、必ず機器メーカーの仕様書(納入仕様書)を確認し、記載されている「最大運転電流」や「電気容量」に基づいて機器選定を行う必要がある。
規約電流の設定のほか、電動機の始動方式による電流の違いや、保護システムの詳細については電動機の始動方式と始動電流を参照。












