カットオフ
グレア制御と遮光角の定義
カットオフとは、照明器具の設計において、ランプや発光部を器具筐体や反射板の奥深くに配置し、特定の角度から見上げた際に光源が直接視界に入らないように遮蔽する手法、またはその性能を指す。この遮蔽性能を表す角度を遮光角と呼ぶ。
遮光角は通常、水平線を0度とし、光源が見え始める限界の角度で定義される。例えば「遮光角30度」の器具であれば、水平方向から30度見上げた範囲内では光源が直接見えないことを意味する。これにより、歩行者や在室者の視野内に高輝度な光源が入ることを防ぎ、不快グレアを抑制する効果がある。
一般的に15°から30°の遮光角を持つ照明器具が販売されており、グレアカットが高度に行われている器具は天井裏への埋込深さが深く、天井裏のダクトや配管などの設備との干渉に注意しなければならない。
施設用途に応じた選定基準
学校の教室、オフィス、図書館など、長時間の視作業が行われる空間では、グレアが眼精疲労や作業効率低下の直接的な要因となる。そのため、遮光角を十分にとった「グレアレスダウンライト」や、ルーバーを取り付けたベースライトの採用が推奨される。
一方、商業施設のエントランスやホテルのロビーなど、空間の賑わいや華やかさ、輝度感を演出したい場所においては、あえて光源の存在を感じさせるセミカットオフやノンカットオフ器具を選定し、空間の「煌めき」を活用する手法も一般的である。用途と目的に応じて、遮光性能を適切に使い分けることが重要である。
屋外照明の配光分類と均斉度のトレードオフ
道路照明や屋外照明においては、IES(北米照明学会)等の基準により、上方光束や高角度領域への光度分布に応じて「フルカットオフ」「カットオフ」「セミカットオフ」「ノンカットオフ」の4段階に分類される。フルカットオフ器具は水平方向より上への光放射がほぼないため、光害(ひかりがい)対策やドライバーへのグレア防止に極めて有効である。
ただし、カットオフ性能を高めることは、光の広がりを物理的に制限することを意味する。その結果、床面や路面を照らす範囲が狭くなるため、照度均斉度(明るさのムラ)を確保するには、照明器具の設置間隔を短くし、設置台数を増やす必要が生じる。設計者は、グレア抑制という質的要件と、器具台数増加によるイニシャルコストとのバランスを考慮しなければならない。












