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回生電力

電動機を回転させ速度を上昇させるには、電力を供給しなければならないが、回転が維持されている状態から減速に推移する過程では、電動機は発電機となって電力を生み出す。これを回生といい、回生によって発生した電力は回生電力と呼ばれる。

回生による発電電力が系統に戻り、接続された負荷に供給されると、供給元となる電動機に強い制動効果を得られ、ブレーキとして作用する。これは回生ブレーキまたは回生制動と呼ばれ、電車やエレベーターなど、強い慣性運動を行う車両や設備のブレーキの一種として活用されている。

回生によって発生した電力は、系統の電線を伝わって戻り、接続されている他の負荷に供給されることで有効利用されることになり、省エネルギーの観点から非常に有効とされている。回生電力を活用したエレベーターは、総合的な消費電力を25%低減できるなど、高い省エネ効果を発揮する。

エレベーターの回生電力

建築設備としては、エレベーターに搭載されている電動機において、回生電力を有効利用する事例が多い。エレベーターのかごの昇降により、電力を消費する運転を行った場合、その反対方向への移動は回生となる。この電力を蓄電池に充電したり、系統に戻して消費することで電力の損失を最低限に抑えている。

エレベーターは、積載荷重の約50%でつりあうように重りが搭載されており、満載のかごを上昇させる場合、及びだれも乗っていないかごを下降させる場合など、つりあいが崩れた状態での動作では、より大きな電力を必要とする。

対して、だれも乗っていないかごを上昇させる場合や、満載のかごを下降させる場合は、つりあい重りによって上昇や下降が行われるため、電動機に負荷がほとんど発生せず、回生により大きな発電が期待できる。発電させることで回生ブレーキが働き、減速も可能となる。

しかし、回生を有効利用するためには負荷の供給先が必要である。小規模な建物に設けられるエレベーターでは、回生電力が発生しても消費するための負荷がなく、電力会社の系統にまで影響を及ぼすおそれがあり、回生機能を設けない事例も多い。

かつ、小規模建物ではエレベーターが小型で安価なため、これに蓄電池を搭載するコストが割に合わないということも考えられ、回生電力を利用せず、抵抗器で熱として消費するという仕組みも存在する。

回生電力を有効利用できない場合、省エネルギーが図れないばかりか、抵抗器周辺の温度が上昇するといった弊害があり、コストとの兼ね合いを検討すべきである。

 
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