架台とは
架台の概要と構造的役割
架台とは、空調室外機、キュービクル、制御盤、受水槽、太陽光パネルといった設備機器を、建物の基礎やスラブ、あるいは屋根面に強固に固定するための支持構造物のことである。
架台は単に機器の固定荷重を支えるだけでなく、地震発生時の水平荷重や、屋上設置における暴風時の風圧荷重に耐え得る強度が必要とされる。構造材には、L型のアングル鋼、コ型のチャンネル鋼(溝形鋼)、H型鋼などの形鋼が用いられ、これらを溶接やボルトで組み立て、コンクリート基礎にアンカーボルトで締結することで構築される。
設置環境に応じた材料選定と防食
架台の材質や表面処理は、設置場所の環境条件によって使い分ける必要がある。
屋内や機械室などの水気のない場所では、一般構造用圧延鋼材(SS材)に錆止め塗装を施したものが一般的である。一方、屋上などの屋外環境では、雨水による腐食を防ぐため、溶融亜鉛めっき(通称ドブめっき)を施した鋼材が標準的に採用される。溶融亜鉛めっきは、亜鉛が鉄よりも先に酸化することで内部の鋼材を守る犠牲防食作用を持っており、長期間の耐候性を発揮する。
沿岸部や塩害地域においては、通常の溶融亜鉛めっきでは早期に腐食するおそれがあるため、ステンレス鋼材(SUS304やSUS316)や、マグネシウムを含有させた高耐食性めっき鋼板を選定する。なお、ステンレス製の機器を亜鉛めっきの架台に固定する場合、イオン化傾向の違いにより異種金属接触腐食(電食)が発生するため、絶縁座金や樹脂プレートを挟み込んで絶縁処理を施すことが施工上の要点となる。
防振架台の目的と固体伝搬音
防振架台とは、ポンプ、送風機、冷凍機、変圧器といった振動を発生させる設備機器と、建物の床(スラブ)や梁との間に設置され、振動の伝達を遮断するための支持装置である。その主たる目的は、機器の振動が建物躯体を揺らすことによって発生する固体伝搬音の抑制にある。
騒音には空気を介して伝わる空気伝搬音と、床や壁などの物体を介して振動として伝わる固体伝搬音の2種類が存在する。特に重量機器の振動エネルギーは大きく、対策を行わずに設置すると、振動がコンクリート躯体を伝播し、発生源から離れた部屋の壁や天井を共振させ、不快な低周波騒音(二次放射音)を発生させる原因となる。
防振架台は、機器と架台の間に防振ゴムやコイルスプリングといった弾性体を介在させることで、振動エネルギーを吸収・減衰させ、躯体への伝達経路を断つ構造を持つ。適切な防振効果を得るためには、単に設置するだけでなく、対象機器の運転質量と振動周波数に基づき、共振を避けるためのバネ定数の計算と選定が必要不可欠となる。
防振材の種類と特性:防振ゴムと金属ばね
防振架台に使用される主な防振材には、防振ゴムと金属ばね(コイルスプリング)があり、対象機器の振動特性や重量に応じて使い分けられる。
防振ゴムは、内部摩擦による減衰性能が高く、高周波域の振動遮断に優れている。また、形状の自由度が高く、据え付けが容易であることから、パッケージエアコンの室外機や小型ポンプ、ファンなどで広く採用される。ただし、固有振動数をあまり低く設定できないため、低周波の大きな振動に対する防振効果には限界がある。
金属ばねは、たわみ量を大きく取れるため固有振動数を低く設定でき、低周波振動に対して高い防振効果を発揮する。大型の往復動圧縮機やチラー、非常用発電機など、振幅が大きく重量のある機器に適している。一方で、金属そのものには減衰性(振動を収束させる力)がほとんどないため、起動・停止時の過渡的な揺れを抑えるために、オイルダンパーなどの減衰機構を併用する場合がある。
振動伝達率と選定の指針
防振架台の選定において指標となるのが振動伝達率である。これは、機器が発生する加振力が、基礎へどれだけ伝わるかを示した比率であり、この値が小さいほど防振性能が高いことを意味する。
効果的な防振を行うためには、支持系の固有振動数を、機器の強制振動数(回転数に由来する周波数)に対して十分に小さく設定する必要がある。一般的に、固有振動数を強制振動数の2分の1から3分の1以下に設定することで、良好な防振効果が得られるとされる。逆に、両者の周波数が近いと共振現象が発生し、振動が数倍に増幅されてしまうため、厳密な計算に基づいた設計が求められる。
防振と耐震の両立
防振架台を使用する場合、機器がゴムやバネの上に浮いている状態となるため、地震の揺れに対しては非常に不安定な構造となる。防振性能を高めるためにバネ定数を下げて支持を柔らかくするほど、地震時の応答倍率は高くなり、転倒や配管破損のリスクが増大する。
日本国内では「設備機器の耐震設計指針」に基づき、施設の重要度に応じた耐震クラス(S、A、B)の確保が求められるため、この背反する課題を解決する耐震ストッパーの設置が不可欠となる。
耐震ストッパーは、通常運転時の微細な振動変位では接触せず防振機能を阻害しないようクリアランス(隙間)が設けられているが、地震発生時にはその隙間を超えて接触し、架台の過大な変位を物理的に拘束する構造となっている。これにより、日常の運転に必要な静粛性と、非常時に求められる安全性を両立させている。












