インピーダンス
交流回路における電流の流れにくさ
インピーダンス(Impedance, 記号:Z)は、交流回路において電圧と電流の比を表す量であり、電流の流れにくさを示す指標である。単位は直流の抵抗と同じくオーム(Ω)が用いられる。
直流回路では単純な「抵抗」のみを考慮すればよいが、交流回路ではコイルやコンデンサが周波数に応じて抵抗のような働きをする。これを「リアクタンス」と呼ぶ。インピーダンスは、抵抗成分(実数部)とリアクタンス成分(虚数部)をベクトル合成したものであり、数式では Z = R + jX (jは虚数単位)と表される。周波数が高くなるとコイルのリアクタンスは増加し、コンデンサのリアクタンスは減少するため、インピーダンスも周波数特性を持つことになる。
電力機器とパーセントインピーダンス(%Z)
受変電設備の設計において最も重要なのが、変圧器や発電機の特性を示す「パーセントインピーダンス(%Z)」である。これは、機器に定格電流を流した際に、巻線の抵抗や漏れリアクタンスによって生じる電圧降下が、定格電圧の何パーセントに相当するかを示す値である。
一般的に、配電用変圧器の%Zは4%〜5%程度に設計されている。%Zが大きいほど、変圧器内部での電圧降下が大きくなり、電圧変動率が悪化するというデメリットがある。しかし一方で、%Zが大きいと、万が一二次側で短絡事故が発生した際に、変圧器自体が電流を絞る役割を果たし、短絡電流(故障電流)を抑制できるというメリットも併せ持つ。
逆に%Zが小さい高性能な変圧器は、電圧変動は少ないが、事故時の短絡電流が膨大になるため、遮断器の遮断容量を大きくする必要が生じる。
インピーダンスマップと短絡容量計算
遮断器(VCBやMCCB)の選定には、その設置点で発生しうる最大短絡電流を知る必要がある。この計算に用いられるのが「インピーダンスマップ」である。
電力会社の供給点(変電所)から、配電線、受電ケーブル、変圧器、構内幹線に至るまで、回路を構成する全ての要素をインピーダンス値(通常は基準容量ベースの%Z)に換算して地図のように接続図を作成する。事故点までの%Zを全て合算し、オームの法則の応用である「Is = 100 / %Z × In」(Is:短絡電流、In:定格電流)の式を適用することで、瞬時に短絡電流を算出できる。このマップ作成は、保護協調設計の基礎となる重要な工程である。
通信・音響分野におけるインピーダンス整合
弱電や通信の分野では、信号を効率よく伝送するために「インピーダンス整合(マッチング)」が不可欠である。これは、信号の送り出し側(出力インピーダンス)と受け側(入力インピーダンス)の値を一致させる技術である。
高周波信号においてインピーダンスが不整合の状態になると、接続点で信号の一部が反射して戻ってくる「反射波」が発生する。これがノイズとなったり、信号の減衰や波形歪みを引き起こす。例えば、テレビの同軸ケーブルが75Ω、無線機が50Ωと定められているのは、この整合をとるためである。電力伝送を目的とするスピーカー接続などでは厳密な整合が求められる。
短絡と保護協調、短絡電流計算などについては短絡電流の遮断・保護を参照。












