電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > インシュロック
樹脂製の電線結束バンドのひとつで、天井裏や壁内でLGSとVVFケーブルを結束したり、分電盤や配電盤内でのケーブル固定、電動機や照明器具内での配線結束など、多岐に渡って用いられている結束バンドのひとつ。ケーブルタイ・タイラップなど、メーカーによって様々な名称がある。
インシュメックのテール部分の先端をヘッドに挿入すると、引き抜きができなくなる機構となっている。やわらかい樹脂製のため、結束対象となるケーブルに負担がかかりにくいため、被覆付きバインド線と合わせて広く普及している。
一度固定したインシュロックは取り外す事ができない機構のため、外したい場合はニッパペンチで切断する必要がある。ケーブル固定に使用している場合、インシュロックとケーブルが接触状態のため、ニッパによってケーブルを損傷しないよう注意を要する。充電されたケーブルのインシュロックを切断するのは危険を伴うため避けるのが望ましい。
インシュロックの表面カラーは透明と黒が主流で、耐熱性、耐寒性、耐候性、耐薬品性などを強化した特殊仕様のインシュロックも各種生産されている。耐候性を強化したインシュロックはカーボンブラックが添加されており、屋外での使用に耐える高い性能を示す。
標準仕様のインシュロックでは、周囲温度-40~85℃までの耐熱性を示し、これ以上の温度が想定される場所では耐熱性を向上させたグレードを選定するのが望ましい。「66ナイロン」と呼ばれる、高い耐衝撃正や絶縁性に優れた原料が用いられていおり、耐熱性や耐候性の要求により、ナイロンの種類を変えた製品が生産されている。
耐候性だけでなく耐薬品性、耐熱性を必要とする場合は、必要に応じた性能を持つインシュロックの選定をしなければ、腐食や劣化による断線のおそれがあるため注意を要する。
インシュロックを含め、プラスチック製品は紫外線によって劣化が進行するため、直射日光の当たる場所で使用するのは避ける。透明インシュロックは耐候性や耐熱性を持たない製品が多いため、直射日光に晒される場所や、温度が高くなるような場所で使用すると、経年劣化により切れてしまうおそれがあるため使用してはならない。
インシュロックは強い張力を掛けることを前提とした製品ではなく、照明器具の落下防止に使用できない。カテナリー照明の固定用に使用するのは厳禁である。
樹脂製のワンタッチ結束バンドは「インシュロック」「タイラップ」という呼ばれ方をされているが、インシュロックはヘラマンタイトン社の登録商標、タイラップはトーマスアンドベッツインターナショナル社の登録商標となっている。
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