電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > インサート
コンクリートやデッキスラブから吊ボルトを吊り下げるための、内ねじを内蔵したアンカー。型枠やデッキスラブが敷設された際、コンクリートを流しこむ前にインサート金物を事前に取付ける。インサートからは重量物の支持も容易で、コンクリートへの打ち込み深さとインサート金物のボルト径の大小に各種強度を計画できる。
インサート本体は鋼製が一般的だが、結露による腐食を防止したい場合はステンレス製やセラミック製のインサートを選定すると良い。
建築工事、空調衛生工事、電気工事でインサートの色を使い分けることで、施工取り合いの間違いを避ける事ができるので、施工要領書などで事前に使用するインサートのカラーを設定するのが良い。「電気:黄」「衛生:青」「空調:緑」「防災:赤」「建築(天井):白」とするのが一般的。
在来の型枠施工の場合、インサート金物本体を型枠に釘固定するが、施工後に残った釘による怪我や電線損傷の危険性を避けるため、また釘そのものの発錆を防止するため、樹脂製の固定釘を採用した製品もある。樹脂釘の場合、施工完了後に釘部分を叩くことで簡単に除去できる。樹脂釘が型枠を貫通しない製品もあり、型枠の再利用に配慮していたり、より安全性の高い製品も数多く存在する。
デッキスラブの場合、インサート金物を釘で打ち込めないため、ドリル等でデッキスラブに穴を開けてインサート金物を固定する。施工性向上のため、踏みつけによる倒れ防止としてインサートにスプリングが付属したものがあり、これも必要に応じて選定する。
コンクリート打設後に打ち込む施工方法は「あと施工アンカー工法」と呼ばれる。あと施工によるアンカーの打ち込みは躯体の欠損はもとより、電気配管などを損傷するおそれがあるため、改修工事などやむを得ない場合を除き、避けるのが望ましい。なおインサートの取付については電気工事士の資格は不要である。
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