フリッカ
光の明るさや映像の輝度が周期的に変動する現象、あるいは電力系統の電圧が変動する現象を示す。日常生活の様々な場面で発生しており、単なる不快感から、健康被害、機器の誤動作に至るまで、多様な影響を及ぼすことが知られている。
光の明暗によるちらつきや点滅の総称であり、設備分野では主にアーク炉や大型溶接機などの変動負荷によって発生する電圧変動が原因で、接続されている他の照明器具などに明るさのちらつきを引き起こす現象である。これは電力品質に関わる重要な課題であり、特に産業分野では対策が不可欠となっている。
フリッカ発生の原因
製鋼用アーク炉や大型溶接機は、稼働中に消費電力が非常に速く、不規則に変動するという特性を持つ。スクラップの溶解初期などでは、電極とスクラップ間のアーク(放電)が不安定になり、短絡と開放を繰り返すためフリッカが発生しやすい。この急激な負荷電流の変動により、配電線や送電線には大きな電圧降下が発生する。スポット溶接機や半自動溶接機など、瞬間的に大電流を必要とする機器も、電圧が変動しフリッカの原因となる場合がある。
発生した電圧変動は、同じ変電所や配電線系統に接続されている他の需要家(一般家庭やオフィスなど)にも波及することがあり、電力品質の低下が懸念されるため、電力会社はフリッカが発生する需要化を特定し、フリッカ発生を抑制するように協議を行う。フリッカを抑制するためには、発生源側での対策が不可欠で、主な対策装置としては応答速度の速い無効電力補償装置が導入する等が考えられる。
これらは電圧フリッカとして分類され、照明器具だけでなく電動機の回転速度が不安定となったり、電圧変動に敏感な制御機器の品質低下につながるため、避けるよう計画することが望ましい。
代表的なフリッカ抑制装置の事例
- 静止型無効電力補償装置 (Static Var Compensator):コンデンサとリアクトルを組み合わせ、負荷の変動に合わせて無効電力を迅速に供給・吸収することで、電圧変動を抑制する
- 自励式無効電力補償装置 (STATCOM: Static Synchronous Compensator):パワーエレクトロニクス技術(自励式インバータ)を用いた装置で、SVCよりもさらに高速・高精度な電圧変動抑制効果が得られる
- 直列リアクトル方式:変動負荷に直列に接続し、系統のリアクタンスを増加させ、電流の変動を抑制する
- アクティブフィルタ方式:負荷変動にあわせて無効電力を注入し、配電線の無効電力を低減させる












