ブラシレス励磁方式
ブラシレス励磁方式とは、同期発電機や同期電動機において、界磁巻線へ励磁電流を供給する際に、従来の「ブラシ」や「スリップリング」といった摺動(しゅうどう)接触部分を完全に排除した技術である。
同期機に励磁電流を供給する方法の一つとして、スリップリングを介さず、回転整流器を通じて界磁に励磁電流を供給する方式で、主機からの出力を同一回転軸に設置した整流器(励磁機)で直流変換し、発電機界磁巻線に直流電源を送る。
ブラシレス励磁方式は、主機と同軸上に設置された「交流励磁機」と「回転整流器」で構成されており、主機の固定子側に設置された小さな交流励磁機の固定子に直流電流が供給される。主機と同期して回転する交流励磁機の回転子に交流電圧が発生し、この交流電圧は、同じく回転軸上に設置された回転整流器(通常はシリコンダイオードなどのブリッジ回路)によって直流へ変換される。
変換された直流電流は、回転軸内部の配線を通じて、主発電機(または電動機)本体の回転する界磁巻線へと直接供給される。この一連の流れが全て回転軸上またはその周辺で完結するため、外部からの接触給電が不要となる。
主要なメリットとデメリット
ブラシやスリップリングの定期的な点検、清掃、交換が不要となるため、運用コストが削減される。摩擦や接触不良による突発的なトラブルのリスクを低減でき、接触部分の火花放電や摩耗粉塵が発生せず、騒音も低減されることからシステムの稼働率・安定性が向上する。大容量機を製作する場合、ブラシやスリップリングを持つ自励式の同期機と比べ相対的に小型化しやすい。
対して、励磁機や整流器ユニットが追加されるため、装置全体の軸方向の長さが長くなり、構造が複雑になる傾向がある。ブラシレス励磁方式の場合、主機の同一回転軸方向に整流器が設置されるため、発電機本体は軸方向に延伸される傾向がある。また、ブラシレス方式では、回転中の界磁回路の状態や、地絡事故などを外部監視するのが困難とされている。












