電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > フロアダクト工事
2024.2.10
オフィスビルや商業施設などの業務施設において、床スラブ内部に金属製ダクトを打ち込んで配線ルートとする施工方式のひとつ。セルラダクト工事と類似した施工方法であるが、下階のデッキスラブ溝を利用するのではなく、スラブ厚そのものを大きくしてコンクリートかぶり厚さを確保し、ダクト部材を打ち込むことで配線ルートを確保するものである。フロアダクト工事として確保した配線ルートは、セルラダクトや電線管、金属ダクト工事と同様に、絶縁電線を直接敷設することができる。
ダクトをコンクリートに打ち込むため、断面欠損となってしまうことに注意が必要である。そのため、フロアダクト敷設後に必要なコンクリート厚さを確保するため、フロアダクトを打ち込まない場合と比較して、スラブ厚を大きくしたり、配筋要領を検討するなど構造設計に影響する可能性がある。各階のスラブ厚さを大きくしなければならないという検討結果の場合、階高や天井高さに影響することに注意を要する。建物自体の重量も大きくなり、構造コストへの影響が大きくなる。
フロアダクトの内部で電線を接続することは禁止されているが、電線を分岐することは可能である。ただし、容易に接続点を点検できる場所に限られるため、ダクトの中間部分などに接続点を設けてはならない。
ダクト本体は金属ダクト工事と同様、ダクト本体に接地工事を施すことも規程されている。300V以下の低圧電線路となるため、接地工事の種別はD種接地工事となる。なお、ケーブルのみを通すための保護材として使用する場合は、フロアダクト工事である必要はないため、上記の規程の適合有無によらなくても良い。
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