電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 防油堤
キュービクル内部に収容する油入変圧器の冷却油や、非常用発電機に用いる備蓄燃料など、多量の油を含む設備からの漏洩を防止するための受け皿となる部分を防油堤と呼ぶ。
燃料タンクが地震や災害などで損傷して溢れるといった事故が発生したときに、屋上や排水溝に流出してしまうと、火災時の炎が引火して建物全体に延焼してしまったり、流出した油が拡散することによる環境汚染にもつながる。漏れた油を貯留し、安全に回収できるように防油堤が用いられる。回収を適切に行うため、溜めますを設け、雨水などの侵入が想定される場合は水抜き穴も計画すべきである。
変圧器の冷却油や、発電機の燃料は危険物に該当するため、危険物法令によって防油堤の必要容量が定められている。防油堤の油が全て漏れ出しても受け入れられるように、タンク容量の110%以上の有効容量をもたせる必要がある。タンクの基礎や、防油堤内部に敷設する配管は、タンク有効容量から除外しなければならない。
複数の燃料タンクをひとつの大型防油堤で保護する場合も考えられるが、複数タンクの同時漏洩は考慮しなくてよく、最大容量タンクの110%で良いものとされている。そのほか、防油堤の構造や強度なども消防法にて規定されているため、必要な計算を行った上で、所轄の消防機関に届出をしなければならない。
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