電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > ボタン電池(コイン電池)
カメラや電卓、電子機器の基盤などに装着して使用するボタン型の電池で、薄いものはコイン電池とも呼ばれることがあるが、基本的に同じものである。乾電池と比較して非常に小さく、持ち運びのできる小型の電気機器にも広く用いられている。
一般的なボタン電池の電圧は1.5Vを確保でき、充電ができない一次電池として流通しているものが多く、充電可能な二次電池の一般流通は少ない。
ボタン電池にはリチウム、アルカリ、マンガン、酸化銀など多くの種類がある。EU電池指令により、水銀・カドミウム・鉛は環境負荷が高いため、その使用が制限されている。最も多く流通している「LR44」はアルカリボタン電池であり、アルカリ液は皮膚などに接触すると怪我を引き起こすおそれがある。
アルカリボタン電池は亜鉛-マンガンが主成分であり、家庭用の時計などで利用される。電圧は1.5V程度を得られ低価格で入手することができる。
銀酸化亜鉛電池は高価格であるが、安定した電圧を確保できるため医療機器などでの採用事例が多い。電圧は1.55Vを確保できる。
リチウムボタン電池はエネルギー密度が高く、長時間利用も可能な高機能ボタン電池である。低温環境でも電圧維持に支障なく、カメラなどの電子機器に利用される。
ボタン電池を破棄する場合、正極と負極が露出しないよう、セロテープなど絶縁性のテープを表面に巻き付けて破棄することで、ショートによる破損や着火を防止できる。ボタン電池を破棄する場合、そのまま家庭ごみとして捨てることはせず、ホームセンターや家電量販店などで回収してもらうと良い。
ボタン電池の表面が正極、裏面が負極となっており、表裏がショートすると異常加熱により破損することがある。特に、使い終えたボタン電池をまとめてケースなどに入れて保管すると、正極と負極がショート状態となり、破裂するといった事故につながる。
ボタン電池の電圧測定のためにアナログテスターを用いると、ショートにより使用不可になるおそれがあるため注意を要する。
乾電池と同様、新旧の電池を混在して使用したり、種類の違う電池を混合して使用するのは禁じられている。また、使い切った電池をそのまま電気機器の中に入れたままにするのも、故障の原因となるため避けなければならない。形状と厚さが類似している製品では、指定以外の電池であっても機器に装着可能なことがあるが、保証されていない使い方となるため避けるべきである。
ボタン電池はサイズが小さく、子供や高齢者、動物などが飲み込みやすい形状となっている。電池は安全な場所に保管するようにし、使用後の電池は速やかに破棄することが望ましい。誤飲すると胃や食道を損傷し、穴が開くといった事象につながるとされている。アルカリ性の液体はタンパク質を溶かす性質があり、粘膜に化学やけどを引き起こすおそれがある。
国民生活センターでは、約20分程度で電池と同じサイズの穴が開くという再現試験が行われている。誤飲したことにより重篤な健康被害を受けるおそれがあるため、手の届く場所に電池を置くことは避けなければならない。また、簡易に取り外しができる機器も同様で、時計などは落とすことで電池が外れてしまうことも考慮すべきである。
ボタン電池に限らず、電池は冷暗所に保管することが推奨されており、さらに高温になると電池の寿命が著しく低下するという特性から、冷蔵庫に保管するという事例が確認されている。電池の保管には、湿度が低く温度変化が少ない環境として「冷暗所」が推奨されている。これを「冷蔵庫」に保管してしまうユーザーが多い。
冷蔵庫では電池本体が冷えすぎてしまい、取り出して使用する際に本体面や内部に結露が発生し、電気回路の損傷や腐食といった事故につながる。腐食した本体からアルカリ液が漏れ出したりすると、電子機器を破損してしまう原因となり大変危険である。
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