電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 保安器
落雷によって発生する誘導電流や異常電圧から、通信機器を保護するための機器。主に、電話回線の引込点において、加入者線の引込み経路途中に設けて、建物内への雷サージを大地に逃がすために用いられる。
保安器の内部にはヒューズやアレスタが内蔵されており、外部から加入者線を伝達して侵入してくるサージ電圧対して、内部機器を保護することを目的とする。内部雷保護を目的として設置される「SPD」と同等の機能を持っている。
NTTの通信事業者は、建物に電話回線を引き込む場合の「責任分界点」として、保安器を取り扱う。責任分界点は、機器や配線に故障が発生した場合の責任範囲の切り分けであり、保安器よりも引込(電柱)側の故障であれば通信事業者の負担で対応し、保安器から建物側であれば建物所有者の負担で故障対応を行う。
保安器は戸建住宅の引込であれば外壁に設けるのが一般的だが、業務用施設などで多数のメタル配線を引き込む場合、MDF盤に保安器を設ける。建物側は保安器スペースのあるMDFを用意し、通信事業者に対してスペースを提供する。
保安器は、インターネットを含む通信障害の原因となる事例が多く、ADSL回線を用いている場合に、保安器を原因とした通信速度の低下や、通信の切断が問題となる。
ADSLを用いた通信契約を結んでいる場合、通信障害の原因が保安器であることも多く、保安器の交換を含む安定化工事によって通信品質が改善されることが考えられる。
電話設備の設計技術については電話設備・交換機の種類と特徴を参照。
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