表皮効果
交流電流の電磁作用が影響し、導体中心に集中した磁界により電流の流れが妨げられ、中心部ほど電流が流れにくくなる減少。導体の中心部ほど電流が小さくなり、表面ほど電流が大きくなる。表皮効果は導体の断面積や導電率が大きいほど大きく現れる。
導体が強磁性体で、導体自身の磁束が大きいほど、表皮効果は著しく現れる。表皮効果は電線路の抵抗を高める性質があるため、損失増大が増大する。
表皮効果は断面積だけでなく、周波数が高いほど大きくなるという特性もあり、テレビ信号など高周波帯域の信号を伝送する同軸ケーブルは、その表面しか電流が流れていない。
一般的に国内で用いられている「50Hz」や「60Hz」の商用周波数であっても、表皮効果は発生しており、送電線など高電圧が印加されている電線では、電流の流れにくい中心部を鉄線とし、外周をアルミ線として送電の合理化を図っている。
表皮効果を低減させる手法として「リッツ線」と呼ばれる電線が普及している。リッツ線は、エナメル線を撚り合わせることで表皮効果と近接効果を低減させ誘導起電力を抑制する電線で、インバーター機器や電子レンジ、IHクッキングヒーターなど、高周波を扱う電気機器の内部配線に採用されている。
表皮効果の概要と発生メカニズム
表皮効果(Skin Effect)とは、導体に交流電流を流した際、電流密度が断面内で均一にならず、導体の表面付近に集中して流れる現象のことである。周波数が高くなるほどこの傾向は顕著になり、電流は導体の「表皮」の部分しか流れなくなる。
この現象が発生する主な原因は、電磁誘導による自己インダクタンスの作用である。導体内部の中心に近いほど鎖交する磁束の数が多くなるため、大きな逆起電力(電流を妨げようとする力)が発生する。その結果、インピーダンスが高い中心部を避けて、インピーダンスが低い表面部分に電流が追いやられる形で分布することになる。
表皮深さと抵抗の増大
表皮効果によって電流が表面に集中すると、導体の実効断面積が減少することと等価になるため、交流抵抗(実効抵抗)は直流抵抗よりも増大する。この影響度合いを示す指標として「表皮深さ(Skin Depth)」がある。
表皮深さとは、電流密度が表面の約37%(1/e)に減衰する深さのことを指し、以下の要素によって変化する。
- 周波数:高いほど深さは浅くなる(表面に集中する)。
- 導電率:高い(抵抗が低い)ほど深さは浅くなる。
- 透磁率:高い(磁気を通しやすい)ほど深さは浅くなる。
例えば、銅線に60Hzの商用周波数を流した場合の表皮深さは約8.5mmであるが、周波数がMHz帯(高周波)になると数μmレベルまで浅くなる。そのため、高周波回路では導体全体を使うことができず、損失が増大することになる。
送電線およびブスバーへの応用
表皮効果の特性は、電力設備の設計においても合理化のために利用されている。
長距離送電線では、中心部に亜鉛めっき鋼線、外周部に硬アルミ線を配置したACSRが広く用いられている。表皮効果により電流の大部分は外周のアルミ部分を流れるため、電流が流れにくい中心部には、導電率は低いが機械的強度の高い「鉄(鋼)」を使用することで、送電性能を落とすことなくケーブルの引張強度を確保し、鉄塔間の距離(径間)を長くすることを可能にしている。
変電所の母線(ブスバー)など、大電流を扱う導体においては、中心部にはほとんど電流が流れないため、導体内部を空洞にした中空導体(アルミや銅)が採用されることが多い。中身を空洞にすることで、電流容量を維持したまま、材料コストの削減と軽量化、および放熱性の向上を実現している。
リッツ線と導体形状の工夫
表皮効果による損失(交流銅損)を低減させるため、機器内部の配線には様々な工夫が施されている。
リッツ線(Litz Wire)は、細いエナメル線(絶縁被覆された素線)を多数撚り合わせた電線である。素線一本一本を絶縁することで、電流を強制的に細い線ごとに分流させ、導体断面全体に電流を均一化させる効果がある。これにより表皮効果および近接効果を抑制できるため、IHクッキングヒーターの加熱コイルや、高周波トランスの巻線などにはリッツ線が用いられている。
また、高周波通信用の同軸ケーブルでは、表面の導電率を高めるために、銅線の表面に銀メッキを施すなどの処理が行われることもあり、各種の表皮効果対策が施されている。












