電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 卑金属
卑金属は、空気中で酸化しやすい金属であり、イオン化しやすいという性質を持つ。空気中に放置したり、加熱することで容易に酸化するため、鉄やアルミニウムなどは卑金属として分類される。
比較的安価に入手することが可能であり、特にアルミは照明器具本体やサッシなど建築材料に幅広く採用されている。銅も卑金属に分類され、高い電気伝導率があるため電線の導体として活用されている。電気材料としては、下記のような利用が普及している。
建築材料としても多量に利用される金属であり、安価で高い性能を示す。卑金属と対比して貴金属があるが、これは高価で希少な金や銀、プラチナといった金属を指している。例えば貴金属の一つである「銀」は、反射率が高く照明器具の反射材として非常に高い性能を示すし、導電率が銅よりも高いため導体としての性能も高い。しかし、宝飾品などの需要もあり単価が高く、大量利用が求められる産業用の導体として、銀を用いることは合理的ではないため、銀を主体とした電線利用はされていない。
高い導電性を利用するため、銅導体の表面に銀メッキを施すことで表面の伝導性を高め、高周波伝送用効率を高めた電線は存在するが、電力伝送用の製品ではない。
建築材料や電気設備材料として用いられる卑金属は、電気伝導性や熱伝導性が高いなど、その特性を利用したものが製作されている。これらの性質は、電気回路や熱交換器などの工業製品において重要であり、安価で大量に入手できることが重要な要素となる。
卑金属は貴金属と比較して、腐食しやすいものである。卑金属は、空気中の酸素や水分と反応して酸化物や水酸化物を生成することが多く、これら化合物は金属表面に膜を形成する。
この膜によりさらなる反応を防ぐ場合もあるが、金属の強度や機能を低下させることもあり、用途は限定されている。卑金属は、合金化が容易であり、他の金属と混ぜて新しい物質を作ることができるという特徴もある。
合金化によって、卑金属の欠点を補ったり、新たな特徴を付与するといった利用もなされている。電気材料や建築材料としてはスーパーダイマと呼ばれる、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムを含むめっき鋼板が生産されており、屋外用ケーブルラックなど高い耐候性が求められる建築材料に用いられている。
建物の屋外や屋上は、直射日光、風雨、排気ガス、人や物の接触による衝撃・キズなど、腐食を誘発する多くの原因に対して強固であり、高い耐久性を持つものとされている。
鉄は炭素と合わせて鋼にすることで強度を高め、配管用炭素鋼鋼管として水道管やガス管などにも活用されている。クロムやニッケルと合わせてステンレス鋼にすることで耐食性を向上させるなど、合金化したものが活用されている。
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