引外し方式
遮断器のトリップ機構と方式分類
引外しとは、遮断器(VCB、ACB、MCCB等)の閉路状態にある電極を、事故検出時や手動操作時に強制的に開放させる動作のことを指す。遮断器本体には、ラッチ機構を解除してバネの力で接点を引き離す「引外しコイル(トリップコイル)」が内蔵されており、このコイルをどのように励磁するかによって、主に以下の3つの方式に分類される。
- 電流引外し方式
- コンデンサ引外し方式(CTD)
- 電圧引外し方式
電流引外し方式の特徴と適用
電流引外し方式は、変流器(CT)の二次側電流を直接、遮断器の過電流引外しコイルに流すことで動作させる方式である。制御電源が不要であり、構成が最もシンプルで安価なため、300kVA未満など小規模な高圧受電設備や、保護協調が単純な回路で採用される。
ただし、過電流継電器(OCR)の接点容量やCTの負担制約が厳しく、精密な保護協調には不向きである。また、地絡保護時には感度が不足する場合があるため、ZCTと組み合わせた地絡継電器(GR)等の外部信号によるトリップには別途電源が必要となるケースが多い。
コンデンサ引外し方式(CTD)の信頼性
コンデンサ引外し方式は、交流電源(AC100V/200V)を整流してコンデンサにエネルギーを蓄え、事故発生時にその放電電流を引外しコイルに流す方式である。単線結線図では「CTD(Capacitor Trip Device)」と表記され、現場では「コンデンサトリップ」や「コントリ」と通称される。
制御電源が停電しても、コンデンサの残留電荷により数十秒間はトリップ動作が可能であるため、電源品質に不安がある中規模需要家で広く採用されている。直流電源装置を設置するほどのコストはかけられないが、電流引外しよりも高い信頼性が求められる場合に適している。
電圧引外し方式(直流電源)による確実な保護
電圧引外し方式は、専用の直流電源装置から常に安定した制御電源を供給し、リレー接点を介して引外しコイルを励磁する方式である。
最も信頼性が高く、停電や瞬低の影響を受けずに確実な遮断動作が保証される。また、複雑なシーケンス制御や遠方操作との親和性も高い。大規模工場、データセンター、病院など、重要度の高い施設や特別高圧受電設備では、この方式の採用が一般的である。ただし、蓄電池や充電装置の設置・メンテナンスが必要となり、イニシャルコストおよびランニングコストは最も高くなる。
電気事故による過電流によって動作する遮断器の動作特性の詳細については断路器・負荷開閉器・遮断器の特性と選定方法を参照。












