引下げ導線
引下げ導体の概要と役割
引下げ導体とは、受雷部となる突針や水平導体が受けた雷電流を、地中の接地極へ安全かつ確実に導くために、建物の側面などを垂直に敷設する導体のことである。雷保護システムを構成する重要な要素のひとつであり、落雷によって発生する数万Aから数十万Aの大電流を、建物や内部設備に損害を与えることなく大地へ逃がす役割を担う。
材質と断面積の基準
引下げ導体は、瞬間的な大電流による発熱や電磁機械力に耐え、かつ屋外環境での腐食に強い材質を選定する必要がある。建築基準法やJIS規格では、主に使用できる材料として銅、アルミニウム、鉄を挙げており、それぞれの材質に応じた最小断面積が規定されている。
例えば、銅線を使用する場合は断面積16mm²以上、アルミニウム線を使用する場合は25mm²以上といった物理的な仕様が定められている。被覆のない裸導線を使用するのが基本であるが、意匠上の理由や腐食防止の観点から、塩化ビニルなどで被覆された導線を使用することも一般的である。
構造体利用による省略
鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)の建物においては、建物の構造体そのものを引下げ導体として代用する「構造体利用」が広く行われている。
鉄骨造の場合、柱や梁の鉄骨は電気を通す優れた導体であるため、これらを電気的に接続することで、専用の引下げ導体を外部に露出させて配線する必要がなくなる。鉄筋コンクリート造の場合も、内部の鉄筋を電気的に連続させることで引下げ導体として機能させることができる。
ただし、構造体を利用するには、部材間の電気的連続性が確実に保たれていることが条件となる。鉄筋コンクリート造において、鉄筋同士が単なる結束線で留められているだけでは不十分とされる場合があり、溶接や適切な圧着スリーブを用いて確実に接続するか、あるいは鉄筋とは別にコンクリート内部へ専用の導体を埋め込む等の対策が必要となる。
配置間隔と保護レベル
引下げ導体の本数や配置間隔は、その建物に求められる雷保護レベルによって決定される。JIS A 4201においては、保護レベルIからIVまでの4段階に分類されており、レベルが高い(重要度が高い)ほど、短い間隔で多数の引下げ導体を配置することが求められる。
これは、雷電流を多数のルートに分流させることで、1本あたりの電流密度を下げ、建物内部への電磁的な影響や、側面での放電リスクを低減させるためである。
測定用端子の設置
引下げ導体の末端、すなわち接地極と接続する付近には、測定端子箱を設置する規定がある。
これは、保守点検時に開放することで、接地極単体の接地抵抗値を測定したり、引下げ導体の導通試験を行ったりするためのものである。構造体利用の場合であっても、メンテナンス用の接続点を設けることが望ましい。












