ひかり電話
光ファイバーを用いたVoIP電話サービス
ひかり電話は、NTT等の通信事業者が提供する光ファイバー回線(FTTH)を利用した電話サービスである。技術的にはVoIP(Voice over Internet Protocol)の一種であるが、一般のインターネット回線を経由する「050型IP電話」とは異なり、通信事業者の閉域網内で帯域制御(QoS)が行われるため、遅延や揺らぎが極めて少なく、従来のアナログ電話と同等(クラスA)の通話品質が保証されている。
利用には「光回線終端装置(ONU)」および「ひかり電話対応ルーター(ホームゲートウェイ)」の設置が必要となる。電話機のインターフェースは従来のアナログ電話機(RJ-11モジュラージャック)がそのまま使用可能であり、操作性や使い勝手は変わらない。
加入権不要と全国一律の通話コスト
従来のアナログ加入電話(PSTN)では、施設設置負担金(いわゆる電話加入権)として高額な初期費用(かつては72,000円、後に36,000円)が必要であったが、ひかり電話にはこの概念がなく、初期費用が安価である。
また、アナログ電話は通話距離に応じて料金が高くなる「距離区分課金」であったが、ひかり電話はIP網を経由するため、日本全国どこへかけても一律料金(例:3分8円)で提供される点が最大のメリットである。番号ポータビリティ(LNP)を利用することで、アナログ電話時代の電話番号(03や06などから始まる番号)をそのまま継続して使用できる。
停電時の脆弱性と電源対策
設備設計上、最も留意すべき点は「電源」である。アナログ電話回線は、NTT局舎から通信線を通じて給電されているため、宅内が停電しても電話機自体は使用可能であった(商用電源を必要とする多機能電話機を除く)。
対してひかり電話は、宅内のONUやルーターにAC100V電源が必要であるため、停電時は一切の通話が不能となる。防犯システムや火災通報装置の回線としてひかり電話を利用する場合、または災害時の連絡手段を確保する場合は、ルーター類に小型の無停電電源装置(UPS)を接続し、電源をバックアップする措置が不可欠である。
スマートフォン連携と内線化
近年のひかり電話ルーターは、Wi-Fi環境下においてスマートフォンを「子機」として収容する機能(SIPサーバー機能)を持つものが多い。専用アプリをインストールすることで、スマートフォンから固定電話番号での発着信が可能となる。
これにより、家庭内やオフィス内でコードレス電話機を用意する必要がなくなり、配線の簡素化と端末コストの削減が可能となる。また、VPN機能を併用することで、外出先から自宅のひかり電話回線経由で通話を行うといった応用も可能である。












