変流器
変流器の概要と役割
変流器(Current Transformer)は、計器用変成器の一種であり、高電圧や大電流が流れる回路から、計器や継電器に適した扱いやすい電流値に変換するための機器である。図面や仕様書ではCTと表記される。
ビルや工場の受変電設備において、数百アンペアから数千アンペアにおよぶ大電流をそのまま盤面の電流計に引き込むことは、配線径が巨大になり、かつ感電の危険性が高まるため現実的ではない。そのため、変流器を用いて一次側の電流を絶縁しつつ、計器の標準的な定格入力である5A(または1A)に比例変換することで、安全かつ効率的な計測監視を実現している。
用途による分類と過電流強度
変流器は使用目的に応じて、主に計測用と保護用(継電器用)に大別され、それぞれ求められる特性が異なる。
電力需給用などの計測用変流器は、通常の負荷電流領域における測定精度(確度階級)が重視される。これに対し、過電流継電器などを動作させる保護用変流器は、短絡事故時のような定格電流の数十倍という過大な電流が流れた際にも、鉄心が磁気飽和せず、正確に電流比を維持する性能が求められる。この耐量を示す指標を過電流強度と呼び、定格電流の40倍や75倍といった数値で定格過電流強度が示される。
二次側開放の禁止と危険性
変流器の運用において禁忌とされるのが、一次電流が流れている状態で二次側回路を開放(オープン)にすることである。
通常運転時、一次電流によって発生する磁束の大部分は、二次側に流れる電流が作る逆方向の磁束によって打ち消され、鉄心内の磁束密度は低く保たれている。しかし、二次側が開放されると打ち消す力が失われ、一次電流のすべてが鉄心を励磁するために費やされることになる。この結果、鉄心が著しい磁気飽和を起こして異常過熱し焼損に至るほか、二次側端子に数千Vの異常高電圧が発生し、絶縁破壊や作業員の感電事故を引き起こす原因となる。
極性と定格負担
日本の変流器は、一次電流と二次電流の位相が同相(実質的に180度ずれる)となる減極性が標準として採用されている。端子には一次側にKおよびL、二次側にkおよびlといった極性記号が表示されており、電力計や方向性継電器を接続する際は、この極性を正しく合わせなければならない。誤接続すると電力計が逆転したり、継電器が誤動作したりする。
また、変流器の二次側に接続できる電線や機器のインピーダンスの合計には上限があり、これを定格負担(VA)と呼ぶ。接続するケーブルが長距離になる場合や、多数の機器を直列に接続する場合は、定格負担の大きな変流器を選定する必要がある。
変流器の詳細については変流器・零相変流器の原理・選定を参照。












