パイラック
鉄骨・形鋼用支持金具の代名詞
パイラックは、H形鋼、I形鋼、等辺山形鋼(アングル)などの鋼材に対して、電線管やケーブル、吊りボルトなどを固定するための汎用支持金具である。電気工事の現場において頻繁に使用される部材の一つであり、照明器具やプルボックスの支持など、その用途は多岐にわたる。
なお、「パイラック」という名称は、電気設備用資材のメーカーであるネグロス電工の登録商標である。他社からも同様の機能を持つ「ビームクリップ」や「フランジクリップ」が販売されているが、現場では総称してパイラックと呼ばれることが多い。
クリップ構造と固定原理
パイラックの本体は、造営材である鉄骨のフランジ部分に挟み込み、付属のビス(ねじ)を締め付けることで固定するクリップ形状を採用している。鋼材に接触する爪部分は波型や鋭利な形状に加工されており、締め付けることで鉄骨に食い込む構造となっている。
この「食い込み」により、振動や衝撃、引張方向の応力に対して強力な摩擦抵抗を発揮し、経年による緩みや脱落が発生しにくい高い信頼性を確保している。
表面処理と材質の使い分け
標準的な製品は電気亜鉛めっき処理(銀色または黄色クロメート)が施されており、屋内環境での使用に適している。しかし、屋外や湿気の多い場所、化学工場など腐食性ガスが発生する環境では、錆や腐食による強度低下が懸念される。
そのような環境下では、耐食性に優れた溶融亜鉛めっき仕上げ(ドブ漬け)の製品や、ステンレス製等を選定すると良い。コストは上昇するが、長期的な設備の安全性を維持するためには必須の選定基準となる。
許容静荷重と施工上の注意
パイラックは万能な支持金具であるが、取り付け方向や組み合わせるアタッチメントによって「許容静荷重」が定められている。特に、吊りボルトを垂直に下ろす場合と、斜めに力がかかる場合では強度が大きく異なる。
カタログ値を超える重量物を吊り下げたり、規定トルク以上で過剰に締め付けたりすると、本体の変形や破断を招き、落下事故につながるおそれがある。施工計画時には、支持する配管や器具の総重量を確認し、適切なピッチで支持点を設けるよう配慮が必要である。
電線管の設計手法や種類等については電線管の種類と規格を参照。












