発報
発報の定義と基本動作
発報とは、自動火災報知設備の感知器が煙や熱を検知するか、または発信機(押しボタン)が操作されることにより、火災受信機が火災信号を受信し、警報を発している状態を指す。
受信機が発報状態となると、直ちに建物内の地区音響装置(非常ベルやサイレン)が鳴動し、在館者に異常の発生を知らせる。これは防災システムの初動として最も基本的な動作であるが、中規模以上の建築物では音を鳴らすだけでなく、防災センターや警備室に設置されている火災受信機へ表示させた上で、空調停止や一斉解錠など、信号移報が同時に行われる。
設備連動(移報)による安全確保
大規模ビルや商業施設においては、火災受信機からの「発報信号(移報接点)」を受け、中央監視装置や各種制御盤が連動動作を行う。
具体的には、空調機や換気ファンを停止させて煙の拡散を防ぐほか、防火ダンパーや防煙垂れ壁を作動させて避難経路を確保する。また、避難を容易にするために電気錠を一斉解錠し、エレベーターは最寄りの避難階へ直行して停止する「火災時管制運転」モードへ移行する。これらの連動制御は、パニック時の混乱を最小限に抑え、安全な避難を支援するために不可欠なシステムである。
誤報対策と二段階警報システム
感知器は、埃や結露、タバコの煙などで誤作動(非火災報)を起こす可能性がある。そのため、不特定多数の利用者がいる施設で、感知器1個の作動のみで直ちに「火事です」という強い警報を流すことは、パニックや転倒事故を誘発するおそれがある。
これを防ぐため、非常放送設備と連動した「二段階警報方式」を採用することが一般的である。
第1段階(感知器発報)では、女性の声によるソフトな口調で「ただいま感知器が作動しました。係員が確認しております」といった旨の放送を流し、注意喚起にとどめる。第2段階(火災断定)では、「発信機が押される」「異なる2つの感知器が同時に作動する(AND回路)」「確認時間を経過しても復旧しない」といった確定条件が満たされた場合に初めて、男性の声やサイレン音を含む強い調子で「火事です。避難してください」という退避放送に切り替わる。
管理者は、このシーケンスを正しく理解し、発報時には迅速な現場確認と、状況に応じた手動放送や避難誘導を行う体制を整えておくことが望ましい。
感知器や火災受信機の詳細については感知器の仕様と設置基準を参照。












