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はずみ車

はずみ車(フライホイール)の概要と原理

はずみ車(Flywheel / フライホイール)とは、回転軸に取り付けられた大きな質量を持つ円盤状の機械部品であり、回転運動のエネルギーを一時的に蓄積(保存)する装置である。

物体が回転運動を継続しようとする慣性の性質を利用しており、外部からの駆動力が断続的であっても、はずみ車の持つ回転エネルギーによって回転速度を一定に保つ「平滑化」の役割を果たす。回転体が重く、かつ直径が大きいほど、より多くのエネルギーを蓄えることができる。

慣性モーメントとGD²(はずみ車効果)

はずみ車の性能を設計・評価する上で、最も重要な指標が「回転しにくさ(止めにくさ)」を表す数値である。これには物理学的な「慣性モーメント」と、実務慣習的に用いられる「はずみ車効果(GD²)」の2つの指標が用いられる。

  • 慣性モーメント(J):国際単位系(SI)に基づく物理量。単位は「kg・m²」で表される。
  • はずみ車効果(GD²):回転体の質量(G)と直径(D)の二乗の積で表される指標。単位は「kg・m²」である。

両者の関係は、SI単位系(質量ベース)において以下の式で表される。

J = GD² / 4

この「4」という係数は、慣性モーメントの計算において回転半径 r を用いるのに対し、GD²では直径 D(=2r)を用いることに由来する(D² = (2r)² = 4r²)。したがって、式中の D は「半径」ではなく「直径」であることを意識して計算する。

古い文献では、Gを「重量(kgf)」として定義している場合があり、これは重力単位系と呼ばれる。関係式は J = GD² / 4g となり、分母に重力加速度 g(約9.8m/s²)を掛け合わせる必要がある。この換算を誤ると計算結果に約10倍の誤差が生じ、モータ始動時間の計算などで設計ミスにつながるため、使用するデータの単位系(Gが質量kgなのか、重量kgfなのか)を確認しなければならない。

主な用途と機能

はずみ車は、動力の安定化やエネルギー貯蔵を目的として、様々な分野で活用されている。

自動車などのピストンエンジンは、爆発工程でのみ強い回転力を生み出すため、そのままでは回転速度に大きなムラ(脈動)が生じる。クランクシャフトにフライホイールを取り付けることで、爆発時に余剰エネルギーを吸収し、圧縮などの他工程でエネルギーを放出することで、滑らかな回転を実現している。

発電用エンジンにおいては、急激な負荷投入(重負荷への変動)があった際、エンジンの出力追従が遅れて周波数や電圧が低下してしまうリスクがある。適度な質量を持つフライホイールを設置することで、その慣性エネルギーにより回転数の落ち込みを緩和し、電力品質を維持する効果がある。

バッテリー(蓄電池)の代わりに、真空容器内で高速回転するフライホイールを用いて運動エネルギーとして電力を貯蔵する「フライホイールUPS」も実用化されている。バッテリーのような化学反応を伴わないため劣化が少なく、瞬時電圧低下(瞬低)対策として採用されているが、電力密度は高いもののエネルギーの貯蔵力は少なく、数十秒程度の出力時間に留まることが多い。

設計上のトレードオフと安全性

はずみ車効果を大きくすれば回転は安定するが、逆に言えば「始動しにくく、停止しにくい」状態となる。過大なフライホイールは、始動時のモーターに大きな突入電流や熱負担を強いることになるため、始動トルクとのバランスを考慮した設計が必要である。

また、高速回転するフライホイールには強大な遠心力が作用するため、遠心力による破損(バースト)に対しても配慮されており、特殊鋼やカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)などの高強度材料の選定や、ケーシングによる防護が行われている。

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