ハト小屋
屋上防水を守るための配管・配線カバー
ハト小屋は、建築物の屋上や屋根に設置される、設備配管やケーブルラックを屋内から屋外へ取り出すための小規模な上屋である。建築用語では「鳩小屋」と表記されることもある。
屋上スラブを配管が垂直に貫通する納まりは、パイプシャフト周辺の防水層において最大の弱点となり、経年劣化による雨漏りリスクが極めて高い。ハト小屋を設けることで、配管やダクトをスラブ(床)からではなく、ハト小屋の側面(壁)から水平方向に取り出すことが可能となる。これにより、雨水の浸入経路を物理的に遮断し、建物の防水性能を長期的に維持する重要な役割を担っている。
構造種別と多目的利用の可否
ハト小屋の構築方法には、主に現場打ちコンクリート(RC造)、ALCパネルやブロックを用いた組積造、そしてメーカー既製品である「ユニット式ハト小屋(ハトコット等)」がある。
RC造のハト小屋は、躯体と一体化しており強度が非常に高いため、その側壁を利用して避雷針の突針、テレビアンテナのポール、あるいは屋上照明器具などを堅固に固定することが可能である。一方、ユニット式やALC造は軽量で施工スピードが速い反面、構造的な強度が低いため、重量物の固定や、風圧を受けるアンテナ類の取り付けは原則として不可である。設計段階でこれら付帯設備の設置計画を漏らすと、後からユニット式では支えきれないという事態を招くため、構造選定には注意を要する。
貫通部の止水処理と難易度
電気設備工事において、ハト小屋からケーブルラックや多数の電線管を引き出す場合、壁面に「鋼製枠(スリーブ枠)」を打ち込み、その開口部を通して配線を行う。この際、ハト小屋内部への水の浸入を防ぐため、開口部周りのシーリング処理に加え、内部からモルタルや止水材を充填する措置を行う。
特にケーブルラック貫通部は、ケーブル本数が多いと隙間を完全に埋めることが難しく、止水処理の不備による漏水事故が多発する箇所である。そのため、止水板付きの専用貫通部材を使用するか、プルボックスを被せて3方向でシール処理をするなど、確実な防水対策を講じる。
消防法上の感知器設置指導
ハト小屋は本来、人が立ち入る居室ではないが、床面積や高さ、点検口の大きさによっては、所轄の消防署から「点検可能で、可燃物が密集した空間」とみなされ、自動火災報知設備の感知器設置を指導される場合がある。
特に、内部で配管接続やバルブ操作を行うような大型のハト小屋(ペントハウスに近いもの)では、熱感知器や煙感知器の設置が義務付けられるケースが多い。感知器が必要となれば、配管工事だけでなく消防設備工事の取り合いも発生するため、事前協議において用途と規模を明確にしておく必要がある。
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