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ZEB(ゼロ・エネルギー・ビルディング)

Zero Energy Building(ゼロエネルギービルディング)の頭文字で示される概念のひとつで、建物で消費される年間一次エネルギーの収支をゼロとした建築物を示す。

地球温暖化に伴う悪影響を防止するため、CO2の発生の抑制が急務とされている社会のなかで、脱炭素社会を推し進めることが求められているが、そのうち建物を建て、運用する際に必要なエネルギーの収支をゼロとすることで、脱炭素社会に貢献することを目的としている。

建築物の断熱性能を高め、高効率な空調機や照明器具を用いることで、建物が必要とするエネルギーは小さくなる。さらに、太陽光発電やバイオマス発電、風力発電といった再生可能エネルギーを用いた創エネルギーを組み合わせて、エネルギー消費量を正味ゼロとした建築物を「ZEB」となるが、これを公的に認証するといった取り組みも行われている。

建築物を従来とまったく同じ作り方とし、省エネルギーに配慮せずとも、太陽光発電設備などの再生可能エネルギー発電設備を大量に設ければ、実質はエネルギー消費量ゼロの建物になってしまうが、このような構成では公的認証を得ることができない。実質のエネルギーはゼロであっても、ZEBとしての認定を得られないという点に注意を要する。

建物が消費するエネルギーを小さくし、環境に与える負荷を小さく抑える努力をした上で、残ったエネルギーを再生可能エネルギー発電でゼロにするという組み合わせが通常の手法である。

Nearly ZEB

従来の建物から50%以上の省エネルギーを達成しつつ、創エネルギーを達成しつつ25%以上導入し、エネルギー消費量を25%以下まで削減した建築物を示す。

ZEB Ready

従来の建物から50%以上の省エネルギーを達成した建築物で、創エネルギーの導入は求められていない。

ZEB Oriented

延べ面積が10,000㎡を超える大規模な建築物において、事務所・学校・工場などは40%以下、ホテル・店舗・飲食店などは30%以上の省エネルギーを達成しつつ、更に省エネルギーの実現に向けた技術を導入した建築物である。

建物が消費するエネルギーとCO2

建物で消費しているエネルギーの代表は「電気」と「ガス」である。照明や空調、エレベーターやポンプといった動力は電気によって駆動している。さらにガスの燃焼によって、給湯や暖房が行われている。ガスヒートポンプを原理とした空調機であれば、冷暖房にもガスが用いられる可能性がある。

これらエネルギーは、電力会社やガス会社といったインフラを担う企業が生成したエネルギーを購入しているため、この購入分はそのまま「建築物を使用するために必要なエネルギー消費量」となる。

電力会社やガス会社により、所持している発電設備やガス精製設備の仕組みや効率が違っているため、どの会社から購入するかによって、CO2の発生量が違っていることを理解しておく必要がある。

太陽光発電や風力発電を多く所持し運用している電力会社は、1kWhあたりに発生するCO2量も少なく抑えられている。対して石炭や化石燃料を燃料とした電力は安価に購入できるものの、CO2発生量が大きいため環境負荷が大きい。CO2の削減とコストは相関性があり、環境配慮された電源は高コストであるとも言い換えられる。

 
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