ZCT
ZCTの概要と動作原理
ZCT(Zero-phase-sequence Current Transformer)とは、電路における漏電や地絡事故を検出するために用いられる特殊な変流器のことである。日本語では零相変流器と呼ばれ、主に高圧受変電設備の地絡保護システムにおいて、センサーとしての役割を担っている。
ZCTの動作は、健全な三相交流回路において、三相の電流のベクトル和は常にゼロになるという性質を用いている。ZCTは鉄心の中に三相の導体を一括して通す構造になっており、通常時は行きと帰りの電流が互いに磁束を打ち消し合うため、二次側には電流が発生しない。
しかし、電路のどこかで地絡事故が発生して電気が大地に漏れると、行きと帰りの電流バランスが崩れ、ベクトル和がゼロにならなくなる。ZCTはこの不平衡分の電流、零相電流を検出し、接続された保護継電器へ信号を送ることで遮断器を動作させる仕組みとなっている。
構造と種類の選定
ZCTの形状には、主に貫通型と分割型の2種類が存在する。新設の設備では、リング状の鉄心の中に電線を通す貫通型が一般的である。一方、すでに電線が敷設されている既設の設備に後付けで設置する場合や、配線の更新が困難な場所では、鉄心を分割して電線を挟み込むことができる分割型が採用される。
分割型は施工性が良い反面、接合面の磁気抵抗が増えやすいため、設置時には接合面の汚れや密着度合いに注意が必要である。
地絡継電器との組み合わせ
ZCT単体では事故電流を検出するだけであり、回路を遮断する機能は持っていない。そのため、地絡継電器(GR)や地絡方向継電器(DGR)と組み合わせて使用される。
ZCTの二次側端子(Z1、Z2)からは、検出された地絡電流に比例した微弱な電流が出力される。また、試験用端子(kt、lt)を備えている製品では、継電器のテストボタンを押すことで擬似的な地絡電流を流し、遮断器が正しく連動して動作するかを確認する試験を行うことが可能である。
施工上の重要ポイント:シースアースの処理
高圧ケーブルの地絡をZCTで検出する場合、シースアース線の通し方を誤ると、肝心の地絡電流が打ち消されてしまい、保護機能が働かないという事態を招く。そのため、引込線か引出線(負荷線)かによって、接地線をZCTに通すか否かを適切に判断する必要がある。
- 引出線(二次側への供給線)の場合:電源側(電気室)にZCTを設置し、接地線をZCTにくぐらせる。これにより、地絡電流が大地を通って戻ってきた際に、ZCTがその電流分を検知できるようになる。
- 引込線(受電線)の場合:負荷側(電気室)にZCTを設置し、接地線をZCTにくぐらせない。引込点に設置されたPASなどで地絡保護が完結している場合は、そもそもZCTを設置せず、接地線のみを接続するケースも多い。
なお原則として、接地は管理がしやすい電気室側(受変電設備側)で行うことが望ましい。
地絡電流の還流ルートを考慮し、ZCTが正しく不平衡電流を捉えられるように接地線を計画することは、施工管理における最重要チェック項目のひとつである。変流器の構造や機能など詳細については変流器・零相変流器の原理・選定を参照。












