USB PD

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USB PD

USBケーブルを用いて、大きな電力による急速充電を行うために定められた規格で、USBを用いた電力拡張規格のひとつである。

スマートフォンやモバイルバッテリー、タブレット端末、ノートPCなど、ユーザーが持ち運ぶ通信端末にはバッテリーが搭載されており、充電インフラの整備は不可欠となっているが、必要な出力も年々大きくなっており、大容量バッテリーに高速充電することが求められている。

従来のUSB規格では、通信端末として代表的な携帯電話の800mAh~900mAhといった小型のバッテリーに充電するのがシーンとして多く、最大2.5W(5V/500mA)という非常に小さな電力で十分であった。

現在では、スマートフォンやタブレット端末に4,000~5,000mAhの大型バッテリーが搭載され、モバイルバッテリーでは10,000m~20,000mAhといった製品も一般化しているため、出力の小さな充電器では充電に必要な時間が著しく長くなり、1日で充電し切れないということも考えられる。これに対応するため、18Wを超える大出力な充電器が販売されるようになった。

大出力の製品では、100Wもの電力をUSB端子から得ることが可能となっており。近年では、最大で240Wもの超急速充電が規格として定められている。

タブレット端末に充電している写真

出力の整合が必要

USBからPDを用いた急速充電を行うためには、充電器、ケーブル、端末のすべてが対応していなければならず、いずれかが旧規格であった場合は、最も遅い速度が充電速度として設定される。充電器が65W出力可能としても、USBケーブルが急速充電に対応していなかったり、通信端末の最大充電速度が18Wといった場合、出力は最も低い18Wが設定される。

USB PDに対応した機器同士は、充電に対する電圧や電流をどう設定するかを通信しており、充電器からの過剰な電力を受け入れないよう安全対策が施されている。

電流によるケーブル発熱の考え方

60Wや100Wを超える急速充電を行う場合、USBケーブルについても対応品を選定しなければならない。60Wを超える電力を送電するUSBケーブルは、eMarkerと呼ばれるチップが搭載したものでなければならないと定められており、ケーブルが対応していない場合は100Wによる出力が実現できない。

ケーブルの発熱は電流Iと抵抗Rによって変動するものであり、発熱量 = I^2×R で計算することができる。大きな電流が流れることで発熱量は2乗で増加する。発熱量についてはVVFケーブルやCVケーブルといった、電力ケーブルなどと同様である。

電流と抵抗が発熱に影響するものであり、USBケーブルは電力ケーブルなどと違い、心線が細く抵抗値が大きくなりがちである。また、繰り返しの抜き差しや、長期間利用による劣化、折れたり踏まれたりすることによる電気抵抗の増加なども、異常発熱が懸念される。

 
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