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KIV

KIV電線(電気機器用ビニル絶縁電線)の概要

KIVとは「600V電気機器用ビニル絶縁電線」の通称であり、主に屋内配線や盤内配線で使用される電線の一種である。特に分電盤や制御盤の内部配線(二次側配線)として標準的に採用されている。

最大の特徴は、一般的な屋内配線用電線(IV電線)よりも導体の素線数が非常に多く構成されている点にある。素線一本一本が細く、撚り合わせ数が多いため、非常に柔軟性(可とう性)が高く、曲げ半径を小さく取ることができる。ケーブルサイズは0.5sqから325sq程度まで幅広く製造・販売されている。

IV電線との違いと使い分け

KIVとよく比較される電線にIV(600Vビニル絶縁電線)があるが、絶縁体の電気的性能(耐電圧性能など)に大きな差はない。明確な違いは「可とう性」と「用途」にある。

  • IV電線:素線数が少なく(単線または7本撚り)、硬い。主に電線管やラックに収容して、壁内や天井裏を敷設する「建築設備の幹線・分岐回路」に用いられる。
  • KIV電線:素線数が多く、柔らかい。複雑な配線ルートを辿る必要がある「盤内配線」や、可動部への渡り線などに用いられる。

電線管施工では、通線性や強度を確保するために硬度の高いIV電線を用い、狭い盤内での取り回しにはKIVを用いるという施工方法が広く普及している。

規格上の注意点と適用範囲

KIVを採用する際は、JIS規格および電気用品安全法(PSE)の適用範囲に注意を要する。一般的に流通しているKIVはJIS C 3316に準拠しているが、サイズによって扱いが異なる。

  • 0.5sq以下:弱電計装用であり、電気用品安全法の対象外となることが多い。
  • 22sq以上:JIS規格(JIS C 3316)の適用範囲外となるため、各メーカーの独自規格品となる。

一般的には設計図や標準仕様書等で規定されているものであるが、官公庁工事やインフラ関連工事などにあっては、JIS規格品の使用が厳格に求められる仕様が求められ、これらのサイズ選定時には、承認願い等の手続きが必要となる場合がある。

耐熱性能とHKIV(特二種)へのグレードアップ

一般的なKIVの最高許容温度は60℃である。盤内配線では機器の発熱や密集配線により温度上昇が懸念されるケースが多く、60℃定格では許容電流が不足する場合がある。そのような場合には、耐熱性能を向上させたHKIV(特二種電気機器用ビニル絶縁電線)を選定する方法も検討する。

HKIVは最高許容温度が75℃まで引き上げられており、同じ断面積(sq)であってもKIVより多くの電流を流すことができる。近年では盤の小型化に伴う放熱性の低下を考慮し、標準でHKIVを採用するケースもある。

施工上の留意点

KIVは可とう性が高く扱いやすい反面、施工時には以下の点に留意する必要がある。

盤内配線では、KIVをダクト(配線ダクト)内に多数束ねて収納することが多い。電線を束ねることで放熱性が悪化するため、内線規程に基づき、電線管収納時と同様に電流減少係数(0.7以下など)を考慮してサイズを選定しなければならない。

素線が細いため、圧着端子を取り付ける際に素線の一部が端子の外にはみ出す「ヒゲ」が発生しやすい。これが隣接端子と接触して短絡事故を起こすリスクがあるため、絶縁被覆付圧着端子を使用するか、マークチューブ等で根元まで確実に保護を行う必要がある。

KIVはIVに比べて曲げやすいが、あくまで「配線時の作業性」としての可とう性である。ロボットアームやケーブルベアのような、常時繰り返し屈曲が加わる用途向けには設計されていないため、そのような箇所には専用のロボットケーブルを選定すべきである。

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