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IBS

IBSの概要と通信インフラでの位置づけ

IBS(Integrated Breaker System)は、データセンターや通信局舎において、整流装置(Rectifier)や蓄電池設備から供給される直流電力(一般にDC-48VやHVDC 380V)を、サーバーラックや通信機器へ分配するための直流分岐盤である。

通信インフラは24時間365日の無停止稼働が前提となるため、商用電源が停電してもバッテリーからの給電が途切れない直流給電方式が採用される。IBSはこの給電システムの末端に位置し、各ラックへの分岐回路(数十アンペア~100A程度)を収容すると同時に、過電流や短絡事故が発生した際に事故点を極小化して切り離す、保護協調の要となる設備である。

直流アークの遮断特性と保護素子の選定

IBSにおける回路保護は、交流(AC)回路とは異なる技術的難易度を伴う。交流電流には周期的な「ゼロ点(電圧が0になる瞬間)」が存在し、アーク放電が自然消滅しやすいが、直流電流にはゼロ点が存在しないため、一度発生したアークが継続しやすく、遮断が極めて困難である。

そのため、IBSに搭載される遮断器(NFB)やサーキットプロテクタは、永久磁石による磁気吹き消し装置を備えた直流専用品を選定するか、あるいは溶断によって物理的に回路を絶つ「ヒューズ」を採用する場合が多い。特に大電流回路においては、限流作用に優れ、確実な遮断が可能なヒューズ式が信頼性の観点から好まれる傾向にある。

活線挿抜(ホットスワップ)と保守性

システムの拡張やレイアウト変更が頻繁に行われるデータセンターでは、運用中の盤に対して、通電したまま分岐回路を増設・交換できる機能(ホットスワップ)が求められる。

IBSの分岐ブレーカーやヒューズホルダーは、充電部が露出しない「フィンガーセーフ構造」のプラグイン方式が主流である。これにより、作業者が感電するリスクを低減しつつ、隣接する稼働中の回線に影響を与えることなく、安全かつ迅速に保守作業を行うことが可能となっている。また、分岐回路ごとの電流値をリアルタイムで監視し、閾値を超えた場合に警報を発する監視機能の実装も一般的である。

負性抵抗による発振現象とコンデンサの役割

通信機器やサーバーの電源入力部(DC-DCコンバータ)は、入力電圧が下がると電流を増やして一定の電力を維持しようとする「定電力特性(負性抵抗特性)」を持っている。これが長い配線のインダクタンスと共振し、電圧が不安定に振動する「発振現象」を引き起こすリスクがある。

この対策として、IBSの母線や分岐出力部には、大容量の「発振予防用電解コンデンサ」が実装される。このコンデンサは、負荷急変時の過渡応答特性を改善するとともに、サージ電圧を吸収し、安定した直流電圧を末端機器へ供給するためのフィルタとして機能する。

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