DINレール
DINレールの概要と国際標準化
DINレール(DIN Rail)は、制御盤や分電盤の内部において、リレー、タイマー、端子台、電源装置などの制御機器を取り付けるために用いられる、規格化された金属製のレールである。
名称の「DIN」はドイツ工業規格(Deutsches Institut für Normung)に由来するが、その利便性の高さから国際的に普及し、現在は国際電気標準会議(IEC 60715)および日本産業規格(JIS C 2812)として整合化されている。形状は「トップハット形」と呼ばれる断面が帽子状のものが主流であり、幅35mmのものが最も一般的に使用されている。
盤内実装における省力化とメンテナンス性
DINレールの利点は、機器の取り付け・取り外しにおける作業効率の向上にある。制御部品をひとつひとつ取り付けするのは、作業労力が大きくなってしまうし、配線も煩雑となりがちである。
従来、制御機器を盤内のベース(中板)に固定する場合、ドリルによるタップ加工(ねじ切り)や、ビス止め作業が個々の機器ごとに必要であった。DINレールを採用することで、対応する機器を「爪」で引っ掛けて押し込むだけのワンタッチ操作で固定が可能となる。これにより、組立工数の大幅な削減に加え、将来的な機器の増設や故障時の交換作業もドライバー1本で容易に行えるため、メンテナンス性が飛躍的に向上する。
材質の選定と接地(アース)に関する留意点
DINレールの材質には、主にアルミニウム製と鋼板製が存在する。選定において注意を要するのは、アース端子台や接地端子を使用する場合の導電性である。
軽量で加工が容易なアルミニウム製レールは、耐食性を高めるために表面に「アルマイト処理(陽極酸化被膜)」が施されている場合が多い。アルマイト層は絶縁体であるため、レール自体に電気的導通がない。したがって、レール取付型のアース端子台(レールを介して筐体に接地するタイプ)を使用しても、機能しないおそれがある。
接地導通を必要とする場合は、導電性のあるメッキ処理(三価クロメート等)が施された鋼板製レールを選定するか、あるいはアルミニウム製であっても接触面の被膜を剥離する特殊な構造を持つアース端子を選定するなど、確実な導通確保に向けた配慮が必要である。
機械的強度とレールの深さ
標準的なDINレールの深さ(高さ)は7.5mmであるが、重量のある大型の電源装置や、振動の影響を受けやすいインバータなどを取り付ける場合、レールの剛性が不足し、ねじれや脱落が生じる可能性がある。
こうした重量物を支持するために、深さを15mmに増やして断面係数を高めた「ハイタイプ(深型)」のレールや、DINレール取付けアタッチメントなどを用いると良い。設計者は、搭載する機器の重量や盤の振動の有無等を考慮し、適切な材質と形状のレールを選定することが望ましい。












