アンビエント照明

サイトロゴ

電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > アンビエント照明

アンビエント照明

全般照明のことで、天井や壁を均一に明るくするために用いる照明方式の総称である。事務室などの執務空間において、部屋全体をできる限り均一に明るくすることで環境を改善するのは一般的な照明手法であり、手元照明による照度確保を考慮せず、天井面からの照度確保を前提とした方式である。

執務空間における作業用の要求照度は500~750lx程度を求められるが、天井面に設けられたアンビエント照明のみで照度を満足する場合、多数の照明器具を設ける必要があり、天井面、壁面、作業面が全て明るくなるため、設置台数が多くなることにより消費電力は高くなる。

省エネルギーの観点から、デスク照明やスタンド照明など、作業用に近い場所に照明を設ける「タスク照明」を組み合わせると省エネになる。全般照明の「アンビエント照明」で空間の明るさ感を確保し、「タスク照明」で作業に必要な照度を確保することで、無駄な照明エネルギーを削減するという手法で、これは「タスク・アンビエント照明」として従来から採用されており、広く普及している。

照明から放出される光束は、距離が離れるほど大きく減衰するので、手元照明を離れた場所の照明で確保するのは合理的ではない。とはいえ、手元以外が真っ暗では疲労しやすいとも言われており、長時間に渡る執務業務で、周囲が暗い状態で手元だけが明るいのは好ましい環境ではないとされている。

手元照明によって作業用の十分な明るさを確保し、全般照明の台数を抑制して無駄なエネルギーを削減し、かつアンビエント照明による照度確保を最小限にすることで、執務環境の環境を維持しつつ、省エネルギーを図ることができる。電気設備設計の視点では、タスク照明は什器備品に該当することが一般的で、建物利用者側が用意するのが基本である。そのため、オフィスビルやテナントに賃貸する事務所などを計画する場合、デスクさえ搬入すればすぐに使えるという状態で貸し出すのが一般的であり、アンビエント照明のみで机上面700~1,000ルクスを満足する設計がなされている。

アンビエント照明で高い照度を確保することが求められている場合、その消費電力を少しでも削減するため、アンビエント照明に調光機能を搭載し、明るさセンサーや人感センサー、画像センサーと組み合わせることで、無駄なエネルギーが使われないよう配慮した設計事例が多い。

明るさセンサーがあれば、日射が入り明るさが確保出来ている時間帯に照度調整できるようになり、エネルギーを削減できる。これは照度の均一化にも繋がり執務環境の向上につながる。人感センサーや画像センサーは、その周囲に人がいるかどうかを検出することで、人がいなければ照明は使わないであろうという前提で、照度を落とすことで省エネルギーを図っている。

 
カテゴリー(クリックで開く)
エアコン室外機の写真
電気の仕組み、発電所から家庭に送られる電気の流れ、直流と交流の違いなどを紹介。
風力発電の写真
新エネルギーとして代表的な太陽光発電、風力発電、燃料電池や、排熱再利用など。
ライティングレールに取り付けられたスポットライトの写真
照明設計の基礎知識、実務における応用、電球の特徴と選定方法などの照明設計。
分電盤の測定写真
電気計算の基礎となる幹線設計やケーブルの選定方法、配線器具の計画、電線管の種類と使い分け。
設備時計の写真
電話、LAN、テレビ共聴、構内通信、電気時計など、弱電設備の設計や計画について。
ボックスに収容されたケーブルの写真
電力ケーブル、通信ケーブル、光ファイバーなど数多く存在するケーブルの特徴を解説。
辞書を見る人の写真
電気設備で使用される機器、材料、技術、指標や単位を解説したオンライン電気設備用語辞典。
柱上に取り付けられた変圧器と電線の写真
受変電設備の設計、各種保護装置の選定方法、受変電設備を構成する保護リレーの種類と整定方法など。
誘導標識の写真
非常用照明、誘導灯、自火報、非常用発電機、防災用蓄電池など、災害発生時に使用する防災設備を学ぶ。
机の上に置かれた辞書の写真
電気設備の関連業務を行うにあたり、必要と考えられる各種資格について学ぶ。
自然をイメージした植栽の写真
カーボンニュートラルを達成し、二酸化炭素の排出を削減と吸収の技術について解説。

サイト内検索