安全ブレーカー
住宅用分電盤に内蔵され、主にコード短絡の保護を目的とした小型の配線用遮断器。安全ブレーカーは配線用遮断器の中でも、10A~30Aの小電流回路を保護するためのブレーカーを指し、住宅用分電盤の分岐回路で多用されている。家庭や事業所の分電盤内に設置されている遮断器であり、配線用遮断器のひとつである。電力会社との契約用である「契約ブレーカー(サービスブレーカー)」や、漏電を検知する「漏電ブレーカー(漏電遮断器)」とは区別される。
搭載されている基本的な機能は、過電流保護と短絡保護である。一つの回路で同時に多くの電気機器を使用し、定められた容量(一般的に15Aや20Aなど)以上の電流が流れた場合に作動する。これにより、電線が過熱して被覆が溶け、火災に至るのを防ぐ。電気配線が何らかの原因で直接接触(ショート)したり、故障した電気製品の内部で異常な接続が起きたりした場合、瞬間的に極めて大きな電流が流れる。これを検知し、瞬時に遮断することで、機器の損傷や発火を防ぐのである。
安全ブレーカーの定格遮断容量は、汎用型の配線用遮断器よりも小さく、一般的には1.5kA程度までが保護範囲となる。住宅におけるコード短絡や、電気の使い過ぎによる過負荷を保護するのが使用上の限界となり、これ以上の大容量を求める場合は汎用型や標準型の配線用遮断器を選定する必要がある。なお安全ブレーカーの動作の機構や仕組みは、これら汎用の配線用遮断器と同様である。
安全ブレーカーは電力用ヒューズと同じく過電流を即時遮断できるが、電力ヒューズよりも動作時間は遅いのが通常である。安全ブレーカーは事故電流を即時遮断でき、繰り返し使用できるという利点があるため、電気回路の保護用としてヒューズを用いる事例は少ない。
また安全ブレーカーは漏電に対する保護機能を持っておらず、漏電保護機能付き安全ブレーカーを選定するか、別に漏電遮断器の設置が必要となる。
安全ブレーカーは、サーキットブレーカーまたは配線用遮断器と機能的に同義であるが、動作機構は熱動による過電流引き外しが一般的で、過電圧引外しの機構はない。警報スイッチ、補助スイッチなど特殊仕様は基本的にないため用途は限られるが、汎用の配線用遮断器よりも小型かつ安価という利点がある。
特殊な安全ブレーカーの機能であるが「コード短絡保護」と呼ばれる、コード損傷による短絡事故の保護に特化したものがあり、住宅や小規模事業所の末端負荷の保護において、安価かつ効果的な保護が可能である。












