安全ブレーカー
安全ブレーカーの定義と役割
安全ブレーカーとは、住宅用分電盤の分岐回路(子ブレーカー)として広く採用されている小型の配線用遮断器(MCCB)の通称である。
定格電流10A~30A程度の小電流回路の保護を主目的としており、分電盤内で電力会社との契約容量を制限する「アンペアブレーカー(サービスブレーカー)」や、地絡事故を検知する「漏電遮断器(ELCB)」とは明確に区別される。
住宅用分電盤に内蔵され、主にコード短絡の保護を目的とした小型の配線用遮断器であり、配線用遮断器の中でも、10A~30Aの小電流回路を保護するためのブレーカーを指し、住宅用分電盤の分岐回路で多用されている。家庭や事業所の分電盤内に設置されている。
主な保護機能は以下の2点である。
- 過負荷保護(使い過ぎ):定格電流(一般に20A)を超える電流が継続して流れた場合、電線の発熱・被覆溶解による火災を防ぐために回路を遮断する。
- 短絡保護(ショート):配線の接触や機器内部の故障により、瞬時に大電流が流れた際、即座に回路を開放して機器の損傷や爆発を防ぐ。
定格遮断容量と適用範囲
安全ブレーカーの定格遮断容量は、JIS規格における「汎用型」の配線用遮断器と比較して小さく設計されており、一般的には1.5kA(1500A)程度である。
これは、住宅や小規模事業所の末端負荷(コンセントや照明)で発生する短絡電流に対応するスペックであり、変圧器直下など短絡電流が数kA~数十kAに達する場所には使用できない。より大きな遮断容量が求められる回路では、標準的なサイズの配線用遮断器を選定する必要がある。
安全ブレーカーは電力用ヒューズと同じく過電流を即時遮断できるが、電力ヒューズよりも動作時間は遅いのが通常である。安全ブレーカーは事故電流を即時遮断でき、繰り返し使用できるという利点があるため、電気回路の保護用としてヒューズを用いる事例は少ない。
ヒューズや汎用ブレーカーとの比較
電力ヒューズは過電流に対して極めて高速に溶断する特性を持つが、一度切れると交換が必要である。対して安全ブレーカーは、ヒューズより動作時間は遅いものの、事故除去後にハンドル操作のみで復旧(再使用)できる利便性があり、低圧分岐回路の標準保護装置となっている。
汎用の配線用遮断器と同等の保護原理(熱動電磁式など)を持つが、小型化・低コスト化に特化しているため、以下の制約がある。
- 付属装置:警報スイッチ(AL)や補助スイッチ(AX)、過電圧引き外し装置などのオプションは基本的に装着不可である。
- 漏電保護:標準品は漏電保護機能を持たない。水回り等で地絡保護が必要な場合は、「漏電保護付安全ブレーカー」を選定するか、上位に漏電遮断器を設置する。
特筆すべき機能として、電気機器の電源コードが家具に踏まれるなどで発生する「コード短絡」の保護に特化した製品も存在し、末端での電気火災防止に効果を発揮する。












