アンシラリーサービス
アンシラリーサービスの定義と役割
アンシラリーサービス(Ancillary Service)とは、電力系統における電気の品質(周波数や電圧)を一定に保ち、安定供給を維持するために、一般送配電事業者(電力会社)が提供する「運用機能」の総称である。
太陽光発電や風力発電、コージェネレーションシステムなどを設置し、需要家側から送配電網に対して発電した電力を逆潮流させる場合、電力会社の電源品質を乱す原因となるため、電力会社側は周波数や電圧などを安定化させ、電源品質を維持するための技術や装置への投資が必要となる。
具体的には、周波数制御、電圧調整、瞬動予備力、ブラックスタート機能などがこれに該当する。近年、太陽光発電や風力発電などの出力変動が激しい再生可能エネルギー電源や、コージェネレーションシステムが系統に大量接続されるようになり、これらが引き起こす周波数乱れを吸収・調整するためのコストと重要性が増大している。
太陽光発電や風力発電など、自然エネルギーを用いた発電設備は、火力発電や原子力発電のような安定した発電を期待できない。これらは電力会社の周波数変動の一因となるため、電力会社は自らの送配電設備や変電設備を用いて、周波数制御を行わなければならない。
周波数変動と需給バランスの原則
電力システムには、「電気の需要(消費量)と供給(発電量)は常に一致していなければならない(同時同量の原則)」という鉄則がある。このバランスが崩れると、系統周波数(東日本50Hz/西日本60Hz)が変動してしまう。
- 需要 > 供給:発電機の回転数が落ち、周波数が低下する。
- 需要 < 供給:発電機の回転数が上がり、周波数が上昇する。
太陽光発電などが天候により急激に出力を落としたり、逆に発電しすぎたりした場合、このバランスが崩れる。これを補正するため、電力会社は調整能力の高い火力発電所や水力発電所の出力を細かく上げ下げするガバナフリー運転やLFC制御を実施している。この「調整力」を提供することがアンシラリーサービスである。
アンシラリーサービス料金とコスト負担
アンシラリー機能は、電力会社が提供する電気の「周波数維持機能」であり、系統連系を求める需要家はアンシラリーサービス料金を支払い、電力会社の行う電源品質の維持に関わる費用を負担しなければならないとしている。
アンシラリーサービス料金は、電力会社によって規模が違うため、金額はそれぞれの電力会社によって定められている。現在はアンシラリーサービス契約1kWあたり、50円未満の金額設定としている電力会社がほとんどだが、電力自由化や、再生可能エネルギーの普及に伴い、100円に近い金額設定が今後見込まれている。
従来、この調整コストは地域独占の電力会社が電気料金の中で回収していた。しかし、電力自由化や発送電分離に伴い、新電力(PPS)や発電事業者が系統連系を行う場合、この「品質維持コスト」を公平に負担する仕組みが必要となった。これがアンシラリーサービス料金である。
系統連系を利用する事業者は、自身が発電した不安定な電力を系統に流す「逆潮流」の対価として、電力会社が行う周波数制御等の費用の一部を負担する契約を結ぶ。料金単価は各一般送配電事業者により設定されており、現在は契約電力1kWあたり50円未満のエリアが多いが、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う調整負担の増加により、将来的には100円程度まで上昇する可能性が指摘されている。
系統連系と逆潮流を伴う技術情報については系統連系・逆潮流を参照。












