アップコンセント
アップコンセントの特徴と利点
アップコンセントは、床面に埋め込み設置するコンセント器具の一種である。使用時のみコンセント部分をポップアップ(飛び出し)させ、不使用時には床面とほぼフラットな状態で床下に収納できる構造を持つ。
オフィスや店舗、ホテルのロビーなどで採用され、以下の利点がある。
- 配線の安全性と美観:壁面から延長コードを長く引き回す必要がないため、歩行者がコードに足を引っ掛ける事故を防ぎ、空間の意匠性を損なわない。
- 空間の有効利用:使用しないときは収納できるため、コンセント上部の空間を妨げず、家具のレイアウト変更にも柔軟に対応できる。
設置上の課題:段差による転倒リスク
「フラットに収納できる」といっても、完全に床面と同一のゼロタッチになるわけではない。構造上、器具の縁部分に1~2mm程度の段差が不可避的に生じる。
このわずかな突起は、歩行時の違和感となるだけでなく、高齢者やヒールを履いた利用者がつまずき、転倒する事故の原因となり得る。床材がタイルカーペットであれば、カーペットの厚みで段差を吸収し目立たなくすることが可能だが、Pタイル、フローリング、石材などの硬質床材では段差が顕著に残る。そのため、通路の中央など歩行頻度の高い動線への設置は避け、家具の下や壁際など、人が歩かない位置を選定する配慮が必要である。
防水性と漏電対策
床面設置という特性上、最も注意すべきリスクは「水分の侵入」である。
清掃時のモップの水気や、こぼれた飲料水、埃などが器具内部に侵入しやすい環境にある。水分が充電部に浸透すると、絶縁不良による地絡(漏電)や短絡(ショート)事故に直結する。したがって、厨房やトイレ、あるいは日常的に床の水洗い清掃を行う場所への設置は厳禁である。
一般の居室であっても、飲み物をこぼすリスクが高い飲食店客席下などでは、防水性能の高い製品を選定するか、設置自体を避ける検討が必要である。
コンセントの形状や種類、設計方法についてはコンセントの種類と形状を参照。












