アッテネーター
アッテネーターの概要と役割
アッテネーター(Attenuator:減衰器)は、電気信号のレベルを適切な値に減衰させる装置の総称である。建築設備分野においては、主に「スピーカーの音量調節器」を指して呼称される。
アンプから送出された音声信号を、抵抗器の切り替え等により減衰させることで音量を調整する。「減衰(絞る)」機能しか持たず、信号を増幅する機能はない。一般的に、OFF(切)から最大音量まで数段階(3~5段階程度)のステップで切り替え可能なロータリースイッチ式やスライド式の構造となっている。
アッテネーター内部には可変抵抗が設けられており、抵抗器の切り替えによって放送の信号レベルを減衰させて音量を調整できる。数段階の音量調整が可能なため、音量調節器やボリュームコントローラーとも呼ばれる。
設置形態と選定
アッテネーターの設置には、スピーカーとの位置関係により以下の2種類がある。
- 壁面設置型:スイッチボックスを用いて壁面に設置するタイプ。会議室、応接室、事務室など、利用者が頻繁に音量を調整する必要がある場所に最適である。
- パネル取付型(スピーカー一体型):スピーカーのエンクロージャーに内蔵、または並設されるタイプ。天井埋込型スピーカーなど、設置後に手が届かない場所には不向きであるが、施工の手間が少ない。
非常放送と「3線式配線」の重要性
業務放送(BGMや案内放送)と非常放送(火災警報等)を兼用する設備においては、配線方式に厳密な規定がある。
2線式配線(一般放送のみ)は、プラス(HOT)とマイナス(COM)の2本の電線で接続する方式。アッテネーターで音量を「切(ゼロ)」に設定していると、全ての放送が聞こえなくなる。BGM専用スピーカーなどで用いられる。
3線式配線(非常放送兼用)は、非常時に、利用者がアッテネーターを「切」にしていても、強制的に最大音量で警報を鳴動させる。これを実現するために、「共通線(N)」「信号線(SP)」に加え、「緊急線(R)」を追加した3線式配線を行う。
平常時はNとSPを用いてアッテネーター経由で音量調整を行うが、非常放送受信時には、設備側で信号が緊急線(R)に切り替わり、アッテネーターの抵抗回路をバイパスしてスピーカーへ直接最大出力を送り込む仕組みとなっている。
テレビ共聴設備におけるアッテネーター
放送設備以外では、テレビ共聴設備においても同名の機器が使用される。ブースター(増幅器)への入力レベルが強すぎる場合、映像信号が歪み、ブロックノイズ等の受信障害を引き起こすことがある。これを防ぐため、入力端子の前段にアッテネーター(減衰器)を挿入し、信号レベルを適正範囲(定格入力レベル)まで引き下げる目的で使用される。












