電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 亜鉛めっき
金属の耐候性を高めるためのめっき技術のひとつ。高温によって溶融した亜鉛を鉄表面に浸透させることで、鉄と亜鉛が強く結合される。鋼板の表面に亜鉛めっき皮膜が形成され、鉄から進行する腐食を抑制する。
亜鉛は防錆力に優れており、自立式照明ポールや電線管、ケーブルラック、ボルト類など多岐に渡る部材で亜鉛めっきが採用されている。鉄鋼の防錆用として用途は幅広い。
亜鉛めっきは、鉄板をめっき槽に浸す「ドブ漬け」という手法が用いられる。ドブ漬けによる亜鉛めっきは、手の届かない細部に渡ってめっきが浸透するため、ボルトのネジ部のような静謐な形状であっても均一にめっきが可能であり、腐食防止効果が非常に高い。
腐食性ガス、塩分にも高い耐久性を示すため、駐車場や軒下、日光に曝される屋上や地中など、過酷な環境であっても使用可能である。塗装のように、摩擦や外部からの衝撃、引っかき傷などで容易に剥離することがないため、再塗装工程にかかるコストを低く抑えられる。亜鉛めっきの利点は下記の通り。
鉄鋼に亜鉛めっきを施す場合、溶融亜鉛を圧縮空気で吹付け、亜鉛皮膜を形成する亜鉛溶射の方法があり、亜鉛めっきを施した部分は、表面に特有の斑点模様が表れる。亜鉛めっきを施した電線管やボックス類は塗装が困難となり、十分な下処理を行わないと塗装が剥落するおそれが高い。
亜鉛めっきを鉄の表面に施すことで、鉄部分は空気や水に触れないため、酸化の可能性が激減する。亜鉛めっきの皮膜は酸素や水分を浸透させない特性があり、めっき対象の鉄部分が水や酸素に触れなければ腐食は発生しない。
亜鉛めっきは鉄と親和性があり「犠牲防食」という作用が働く。亜鉛メッキ部分と鉄が接触した状態であれば、部材にピンホールやキズが発生した場合であっても、亜鉛めっき部分が鉄鋼に代わって溶解し修復するため鉄鋼部分が守られる。
数センチメートルに渡るような大きなキズでなければ、犠牲防食作用によって鉄は腐食に至らない。犠牲防食で修復できないような大きなキズが発生した場合や、亜鉛めっきを施したネジを切断した場合などは、キズや切断部から腐食が発生する。「ローバル」など、常温でも施工が可能な亜鉛めっき塗装を施すと良い。
腐食が発生した鉄部分を補修する場合、さびの上に塗装をしても効果がない。工具を用いてさびを落とし、清浄な鉄部分に対して補修するのが重要である。
溶融亜鉛めっきは、鉄板を苛性ソーダ水溶液で脱脂し、清浄な鉄部分に対して実施しなければならない。
通常、亜鉛めっきが施されていれば十分な耐候性が得られるが、亜鉛めっきの表面は縞模様であるため美観の向上がもとめられたり、より高度な耐久性が求められる場合、亜鉛めっきの上に更に塗装を施すことがある。
亜鉛めっきは塗装が剥離し易いため、めっき鋼板の表面を十分脱脂し、金属表面をブラスト処理して塗料が剥離しないよう考慮する。塩化ゴムまたはエポキシ系の下塗りであれば、亜鉛との付着性は良好である。
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