高圧電線の種類と違い

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高圧電線と低圧電線の違い

電気を送ることができる電線には数多くの種類があるが、数千から数万ボルトで電圧でも使用可能なものや、数百ボルトの低圧でしか使用できないものなど、使用場所と印加電圧に応じて電線を使い分けなければならない。

電線は大地や電線間が導通しないように、大地に対して絶縁を施すといった安全対策が行われている。極めて高い電圧を印加している送電線などでは、そもそも接触による事故の発生のおそれが小さく、かつ超高圧ともなる数万から数十万ボルトの電圧を絶縁することが不合理な場合は、絶縁を施さない状態で敷設することも多いが、建物内部で使用する高圧電線は、人が触る可能性に配慮して、高い絶縁性能を持つ電線として構築されている。

高圧電線は、街中の電柱上部に張り巡らされているため、比較的簡単に見ることができる。電柱のもっとも高い部分に3本の高圧電線が敷設されており、柱上変圧器などを経由して住宅などに供給されている。電柱の上には、高圧と低圧の両方の電線が敷設されており、その電線の構造は大きく違っている。

ここでは、建物内部に敷設する高圧電線を主体に、低圧と高圧における電線構造の違いなどを解説する。

高圧電線に設置された筒型ヒューズの写真

高圧電線の構造と印加電圧の違い

建物内部で使用される電圧は200Vまたは100Vであり、三相動力または単相電灯が敷設される。対して、需要家内の高圧電線路の多くが6.6kVの三相3線によって計画される、高圧仕様として絶縁性能が強化された3本線のケーブルや電線が用いられている。

幹線として敷設されるケーブルとしては、架橋ポリエチレン処理が施されたCVケーブルや、3線撚りとなったCVTケーブルが用いられるが、高圧電線も同様に架橋ポリエチレン処理されたケーブルが用いられる。ただし、その形状は大きく違っており、大径で重く硬いケーブルとなる。

低圧用のCVケーブルは、導体に対して絶縁体とシースを被覆した単純な構造であるが、高圧仕様では導体に対して内部半導電層・絶縁体・外部半導電層、遮へいテープなどが追加されている。

内部半導電層は、導体と絶縁体の接触を良くし、隙間が発生させないという効果がある。内部半導電層により導体の凹凸が少なくなり、電界集中を防ぐという効果を期待している。

外部半導電層は絶縁体とシースの間に充填される層で、隙間の発生防止や、緩衝材としての機能を持つ。民生品の高圧ケーブルではテープ巻きとする事が多い。

電力仕様や官庁仕様では、内部半導電層・絶縁体・外部半導電層を同時に構成する三層同時押出による一体成形の高圧ケーブルも採用されている。これにより、長期に渡って水の影響を受けた電線に発生する「水トリー(water tree)」の発生を抑制し、より信頼性の高い高圧ケーブルを構築している。

このような構造の違いにより、高圧電線は低圧電線と比較して重く、非常に硬い上、端末処理が難しいという特徴がある。テープ部分の処理を誤ることで、ケーブルヘッドに閃絡が発生し絶縁破壊を引き起こすといった事故も起きており、高圧電線の処理には高い技術力が求められる。

 
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