HDMIケーブル | リピーター・エクステンダーによる延長と注意点

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HDMIケーブルとは

HDMIケーブルは、テレビやPCモニター、ディスクレコーダー、シアター装置やゲーム機などに搭載されている接続インターフェースのひとつで、映像信号や音声信号といった、従来はそれぞれ個別の電線を接続していたものを、1本のケーブルでまとめて伝送する通信規格である。

機器にケーブルを差し込むだけで、どの入力端子に接続されているのかを判別することもできるため、レコーダーやゲーム機の電源をオンにすることを検出して、自動的にテレビの電源をオンにするといった連動動作も可能となっている。

HDMIケーブルでは、非圧縮のデジタル信号形式でデータを伝送するため、伝送中の画質・音質の劣化がなく、高品質な信号伝送が可能なインターフェースとして広く普及している。

接続コネクタは「タイプA」と呼ばれる19ピンのものが広く使われている。タイプA~タイプEまでの種類があるが、建築設備分野で通常用いられるタイプAのみ取り上げて解説する。タイプBはHDMIミニと呼ばれ、デジカメやビデオカメラと接続する。タイプDはHDMIマイクロと呼ばれ、スマートフォンやタブレットなどと接続する。どちらもモバイル端末や可搬式の家電製品に広く採用されている。

HDMIケーブルの拡大写真

HDMIケーブルの規格

HDMIケーブルの規格は、2002年に1.0がリリースされて以来、2.1まで改定が進んでいる。伝送可能な解像度、音声伝送の対応規格の追加、帯域、伝送速度などがより高速かつ、多機能になっている。

2020年現在、市販品として広く普及しているのはHDMI 2.0以降の規格であり、2160p(4K UHD)の解像度に対応している。8Kに対応するためには、HDMI 2.1の規格品を使用する必要があり、2.0と比較して高コストとなっている。

市販品の多くは、HDMI規格のバージョンだけでなく「スタンダード」「ハイスピード」「プレミアム(Premium)」といった名称で展開している。スタンダードはHDMI 1.4、ハイスピードやプレミアムハイスピードはHDMI 2.0やHDMI 2.1など、それぞれ名称とHDMIのバージョンが定まっておらず、購入時は注意を要する。

簡易な判断基準としては下記の通りであるため、参考にされたい。

伝送距離の限界

HDMIケーブルには伝送の限界があり、一般的な設備計画では5m以内の計画とすることが望まれる。5mという距離はかなり短く、建物の壁内を通すような計画では、すぐに距離を超えてしまう。10mや15mといった長距離のHDMIケーブルも市販されているが、接続する機器によって品質が大きく違ってしまい、伝送の不安定化を引き起こす原因となる。

例として、学校の教室やオフィスの会議室の天井にプロジェクターを設け、手元操作が可能な場所にHDMI端子を設けるという計画の場合を考える。壁のHDMI接続ソケットから天井面まで2m、天井からプロジェクター本体まで2~3m、接続端子までの立ち下げや、ケーブルのたわみなどを考慮すると、5mを超過することになり、より長いHDMIケーブルを選定しなければならない。

HDMIケーブルは、機器との相性問題が厳しく、10m程度の敷設で問題なく伝送できることもあれば、映像や音声が頻繁に途切れたり、そもそも何も動作しないといったことも発生する。10mのケーブル引き回しが発生する場合、信号強度を強くするか、HDMIケーブルをLANケーブルに変換する「リピーター」や「エクステンダー」を設けることを検討しなければならない。

HDMIリピーターによる増幅

HDMIリピーターは、HDMIケーブル同士の間に挟み込むように設置し、信号を増幅することで減衰を補償する装置である。10m前後の距離での敷設であれば、比較的安価に距離を延長できるため、手軽な方法としての選択肢のひとつである。

リピーター本体は外部電源を供給することで、入力・出力ともに延長するのが基本だが、外部電源を接続せず、HDMIケーブルに乗せられた電圧で動作する製品も存在する。この場合、リピーターへの入力はできる限り短くし、出力側を長くするのが良いが、メーカーの説明書や仕様書に準拠して、ケーブル長さが超過しないように計画する必要がある。

動作が不安定な場合には、リピーターに電源供給することで解決することも多いため、メーカーはACアダプターやUSBによる給電端子を設け、外部電源による安定化を図った製品を提供している。

エクステンダーによるLAN変換

HDMIエクステンダーは、HDMIケーブルで伝送する信号をLANケーブルに乗せ、非圧縮デジタル信号のまま長距離敷設を行うための変換装置のひとつである。50m以上の超長距離を敷設可能となり、HDMIケーブルのみでは対応できないような遠隔地に対しても、映像や音声の信号を伝送できる。

カテゴリ5eや6といった安価なLANケーブルを利用できるのも利点のひとつで、長距離敷設を行う場合に広く採用される方式である。エクステンダーには「8芯のLANケーブルを2本差して16芯とし、HDMIケーブルの19ピンにマッピングしてそのまま伝送する」というシンプルな仕組みのものと、「IPベースのネットワークに接続できるプロトコルに変換して伝送する」という仕組みが存在する。

2本のLANケーブルを接続する方式の場合、同じメーカー、同じ長さ、同じカテゴリのLANケーブルを使用するべきであり、違う長さや違うメーカーを選定すると、エラーの原因となる。

エクステンダーの性能によって、どのHDMIバージョンまで伝送が規定されている。求めている伝送解像度を確認し、必要な性能に応じた製品を選定すると良い。なお、LANケーブルの性能によって伝送品質が変化するため、Cat6以上のUTPケーブルを用いるのが望ましい。

LANによる延長計画の注意点

HDMIケーブルからLANケーブルに変換する部分に、送信機と受信機を設けることになるため、送信機本体を取り付けるスペースが必要となる。壁面にHDMIのコネクタがソケット形状で設けられている場合、HDMIケーブルによって配線を取り出し、その直近に送信機が設けられるため、送信機をどこに納めるか事前に検証しておくことが望ましい。送信機が床に転がっているような計画は、見栄えが悪く、かつ故障の原因となるので避けるべきである。

また、エクステンダーは100V電源が必要になる。通常ACアダプターによる電源供給を行うため、壁面コンセントから電源を取る場合は見栄えが悪い。また、ACアダプターはコンセントに直接プラグを接続する方式よりも本体重量が大きいため、接続するコンセントを抜け止めにしておくことで、時間に伴うプラグからの外れや、接触不良による異常発熱を防止するのが望ましい。

 
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