電線・ケーブルの基礎知識 | 材質の違いと関連法規

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電線とは

電線は、電気設備技術基準において「強電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体又は絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体をいう」と定義されている。

電線は、発電所や変電所から送られる電気を、安全に送り届けるための重要設備のひとつで、電気抵抗率の低い「銅」や「アルミニウム」が用いられる。送電線など、超大な距離を架空敷設する場合は、電気抵抗率が比較的高いが、密度が小さく軽いアルミニウムが用いられる。

電線サイズは、太くなるほど電気抵抗が少なくなり、流せる電流(許容電流)が大きくなる。かつ、電圧降下も小さくなるという特性がある。

しかし、大きいサイズの電線は重量が重く、コストアップにつながるという弊害がある。負荷容量に応じた電線サイズを選定しなければ、無駄なコストアップにつながるため、電気設備設計者には経済設計が求められる。

キャプタイヤケーブルの断面写真

電線の選定基準と選定方法

電線は、供給対象の負荷容量、電線敷設距離などを勘案し、適合する電線種類やサイズを電気設計者が計画しなければならない。

電線の種類と用途の組み合わせは膨大であり、その選定においては、設計者の知見において「使用目的に合致した性能を持つ電線」を適正に選択しなければならない。

ケーブルや電線の種類やサイズは、コストにそのまま反映される。過剰な性能を持つケーブルを選定することなく、コストと性能の両面を満足する電線を選定できるよう、電線の種類、性能、価格等を理解することが電気設備設計者に求められる。特徴や機能を十分に理解することが重要である。

電線の安全対策

人が容易に触れる場所に電線を敷設する場合、導体を多重に被覆して安全性を高めたケーブルを選定し、触れても支障ないような措置を行う。絶縁電線など、強固なシース体が存在しない電線は、金属管や合成樹脂管など、電線管に収容することで保護し、安全性を高めなければならない。

ホイストクレーンのトロリ線など、人の手が届かないほど高所に電線を敷設する場合であれば、充電された導体部が剥き出しとなっている「裸導体」で計画しても良い。ただし、点検時に接触しないような運用が求められる。

防災設備への電源供給

防災設備を動作させるための電線は、火災による炎や煙に晒され、一定時間以上の高熱を受けたとしても、容易に焼き切れず電源供給を継続できる耐火性が求められる。これらの防災機器は、受変電設備や非常用発電機から電源供給されるが、どちらの配線にあっても、耐火電線を選定しなければならない。

電源内蔵型の非常用照明や誘導灯など、電気機器本体に予備電源が収容されており、電線が焼き切れても機能を維持する装置であれば、耐火電線を選定する必要はない。

腐食性ガスの影響と対策

化学工場など、腐食ガスの影響を開ける場所に電線を敷設する場合、腐食性ガスに耐えられるような高い耐薬品性のケーブルを選定する。

これら特殊な性能を持つケーブルや電線は、特殊品のためコストが高く、生産しているメーカーも限られている。合成樹脂管など、腐食性ガスの影響を受けない電線管を選定し、収容するのも一案であるが、損傷によって電線管が破損すればケーブルに被害を及ぼすため、計画は慎重に行うべきである。

耐久性や耐候性が高いケーブルは、多重に施された被覆や「がい装」により、重く、施工性が悪いのが一般的である。耐久性を高めるためのコストアップを把握し、現実的な提案を心掛ける。

電線として利用されている導体の種類と特徴

電線に使用される導体としては「銅」と「アルミニウム」が大半を占めており、建築物に敷設する「内線」用に使用する電線は、銅導体が一般的である。電線やケーブルに使用される銅は一般電気銅とよばれる銅導体で、導電率が銀に次いで良く、耐久性や加工性が良いため、非常に数多くの使用実績がある。

銅の特徴

銅は電気抵抗率が非常に低く、電気を通しやすい物質である。市販されている一般的なケーブルは銅を導体とし、その外面を絶縁被覆で覆った「絶縁電線」や、被覆に対して更にビニルシース、架橋ポリエチレンシースといった強固な保護材で覆った「ケーブル」として販売されている。

銅の導電率は、万国電気工業委員会において標準が決められており「20℃・長さ1m・1m㎡の切断面積の銅導体の抵抗値は1/58Ω」とし、これを導電率100%としている。銅成分の純度が高いほど導電率が良く、不純物の割合が多いほど導電率が悪化する。

電気精錬で得られる銅導体は、成分純度99.96%以上という高い純度となっている。不純物として若干のヒ素やビスマス、鉛、鉄を含有しており、不純物が少ないほど導電率が向上する。

電線やケーブルに使用されている銅は、電気銅から精製されるタフピッチ銅が使用される。タフピッチ銅は、酸素を0.02%程度含有しており、導電率が良く、加工性・耐久性・機械的強度に優れた性質を持っている。

銅は常温、乾燥空気中ではほとんど酸化することがないという特徴がある。湿度の高い環境ではCO2と反応し、塩基性炭酸銅を生成する。塩類水溶液に強い耐食性を示すが、アンモニア塩にのみ強い腐食作用を生じる。

アルミニウムの特徴

アルミニウムを用いた電線は、一般用途の構内ケーブルではほとんど用いられず、送電線に広く用いられている。アルミニウムは銅よりも密度が低いため軽く、超長距離を架空敷設するのに適している。

アルミニウムは銅に次いで導電率が良好な導体材料で、銅に比べて軽量で耐食性に優れているため、送電線で用いる架空電線材料として広く使用されている。

酸化によって表面がアルミナ層で覆われ、腐食に強いのが特徴である。アルミニウムの耐食性は純度との関係が強く、純度が高いほど耐食性が良好である。

アルミニウムは不純物による影響が大きく、銅や鉄が含有していると腐食に対して弱くなる。アルミニウムは、有機酸、イオウには強い耐食性を示すが、無機酸には弱い。電力送電を行う電気用のアルミニウム導体は、不純物によって導電性が大きく阻害されるため、銅導体よりも化学成分量を厳しく規制している。

弱電流電線の定義・計画の注意点

電気通信に使用される弱電線回路は、電気設備技術基準において「弱電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体又は絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体をいう」と定義されている。

照明や動力回路で用いられる「低圧」や「高圧」といった比較的電圧の高い電線路ではなく、通信や制御、計測など、電気信号を伝送する用途に用いる。これには小勢力回路や、出退表示灯に使用する電線も含まれる。

弱電線と強電線の離隔確保

弱電線に流れる電流は小さく、誘導などの影響で、信号が乱れると計測値にエラーを引き起こすおそれがある。大きな電流が流れる強電線と平行しないよう敷設するのを原則とし、やむを得ない場合は絶縁体で遮へいするか、弱電線側にシールド処理を施す。

弱電流電線と低圧配線との離隔距離は「がいし引き工事」か「がいし引き工事以外」によって分類されている。がいし引き工事は、絶縁電線や裸電線をそのまま露出にて施工するため、弱電線に対して大きな離隔距離を確保しなければならない。

強電線側がケーブルであれば「直接接触しない」という基準での敷設が可能となる。

コードと絶縁電線とケーブルの違い

家庭用電気機器は、コードと呼ばれる軟導体の移動電線が用いられる。先端にはプラグが取り付けられており、コンセントに接続して使用する。

壁面や天井への固定、天井裏への転がし配線を行う場合は、VVFケーブルなど「ケーブル」を用いなければならない。ケーブルはコードよりも強度・耐久性共に高く、ステップルによる固定にも耐える。

コード

コードは、導体となる銅に絶縁被覆を施した上で可とう性のある電線である。導体部分が被覆されているため、触れても感電することはないが、柱や壁に固定したり、点検の出来ない場所に敷設することは禁じられている。

コードは耐久性に乏しく、壁面や天井面への固定、天井裏への転がし配線をするのは禁じられている。容易に点検できる場所において、固定せず使用しなければならない。

絶縁電線

絶縁電線は、コードと同様、導体に絶縁被覆が施されているが、可とう性が低く、移動電線としての使用はできない。壁面や天井面に支持固定や、天井裏への転がし配線も禁じられている。

絶縁電線を使用する場合、金属管や合成樹脂管などの電線管、メタルモールやレースウェイといった金属線ぴに収容し、容易に触ることができないよう安全対策が施さなければならない。

ケーブル

ケーブルは、絶縁電線に外装を施した安全性の高い電線である。柱や壁に固定したり、天井裏への転がし配線を行うためには、被覆の上にさらに外装を施した「ケーブル」でなければならない。

ケーブルは、絶縁被覆を保護する「保護層」があるため、強く引っ張られたり、ステップルなどに圧迫されても十分に耐える強度を持っている。

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